経穴精査 総論/索引

【このデータベースについて】

2005年、賀偉氏(千歳烏山・精誠堂鍼灸治療院院長)主催の勉強会にて、「個々の経穴を様々な文献から再度精査して、臨床に役立てよう」という提案がなされました。

その後二年間、参加者が各自持ち回りで調査した資料を発表するという形で、手太陰肺経から督脈まで、古今多くの書物文献からの情報収集が続けられました。

当時、会に参加していた私は、過去に同様の試みを個人的にまとめていた事もあり、皆さんの資料を自らのノートに組み込む形で編纂する役目を担い、2007年、「勉強会成果物」として製本したものが、本データの基となる『経穴精査・第一版』です。

その後も私は、自らの臨床の傍らにこの作業を重ね続け、新たに入手した古書漢籍、医学書などを更に組み込み、より分かり易く、臨床の場で即活用できる形式を模索し、一人、増補推敲を重ねてきました。

『第一版』以後のこのデータベースは、公益に資する意味で公開しておりますが、その内容は私個人の臨床データの蓄積と、そこからの人体イメージであり、私自身がネット上から簡単にデータを引き出せるようにした、あくまで「私個人のデータベース」です。

読まれる方は、このことをご了解の上でご覧ください。

どうぞ、一つの参考書として、諸先生方の日々の臨床に少しでもお役に立てば幸いです。

はりきゅう治療院 伍行庵  吉田 啓

 

《当院蔵書/参考文献》

「痛みの症状別針灸治療(賀普仁著/静風社)」「動きの解剖学(ブランディーヌ・カレジェルマン著/科学新聞社出版局)」「解剖学(医歯薬出版)」「カパンディ関節の生理学(医歯薬出版)」「からだの設計にミスはない(橋本敬三著/たにぐち書店)」「漢方用語大辞典(燎原)」「奇経八脈考(東洋学術出版社)」「景岳全書(上海科学技術出版社)」「経穴探源(学苑出版)」「経絡相関論(谷口書店)」「経絡経穴概論(医道の日本社)」「黄帝内経(花城出版社)」「悟真篇(三民書局)」「図説ヨーガ大全(伊藤武/佼成出版社)」「初歩のチベット医学(ドゥルカナ・カンガァール著/東方出版)」「鍼灸甲乙経(学苑出版)」「鍼灸大成(人民衛生出版社)」「鍼灸治療基礎学(医道の日本社)」「鍼灸要訣与按摩十法(中医古典出版社)」「人体の張力ネットワーク 膜・筋膜 最新知見と治療アプローチ(ELSEVIER社/医歯薬出版株式会社)」「素問ハンドブック(医道の日本社)」「早わかり経外穴110選(源草社)」「ハリの威力(賀偉著/ジョルダンブックス)」「蛇(吉野裕子著/講談社学術文庫)「まんが経穴入門(医道の日本社)」「臨床経穴学(東洋学術出版社)」「美容と健康の鍼灸(張仁編著・浅野周訳/三和書籍)」「霊枢ハンドブック(医道の日本社)」「和漢三才図会(東洋文庫)」「Anatomy Trains(Thomas W.Myers)」「WHO/WPRO標準経穴部位(医道の日本社)」

他、文献多数より。

 

【経絡とは】経脈・絡脈の総称。気血津液の通路として臓腑を結び全身を貫き、体内の機能を調節・統合する。

エネルギー(気・血・津・液)を安定して運用する為の「システム」として理解すると分かりやすいかと。

・生理面:気血の運行・陰陽調節・外邪侵入に対する防衛。

・病理面:病邪の伝播・反映。

・治療面:鍼灸刺激の伝導・臓腑の虚実調節。

 

《正経十二経》12条ある経絡脈の主幹路。各々六臓六腑に属し、各臓腑の気血を手足末端まで巡らせている。

・手 太陰 肺経

・手 陽明 大腸経

・足 陽明 胃経

・足 太陰 脾経

・手 少陰 心経

・手 太陽 小腸経

・足 太陽 膀胱経

・足 少陰 腎経

・手 厥陰 心包経

・手 少陽 三焦経

・足 少陽 胆経

・足 厥陰 肝経

 

《絡脈》経脈からの分枝で、各経脈間(基本、表裏の経脈)の関係を密にしている。

特に大きな十五条を十五絡、小さい絡脈を孫絡、さらに細かく体表に分布するものを浮絡と呼ぶ。

※十五絡は、虚里(心臓/胃之大絡)を加え十六とする事もある。

※経脈の絡脈を『陽絡』、臓腑の絡を『陰絡-脾の大絡(大包)・虚里(心臓・胃之大絡)・胞絡など』と呼ぶことも。

・絡脈は浅層(皮下静脈や十二皮部)との関係が深い。発生的には診断点『絡穴』(絡脈の色で診断-「魚際」参照-)として生じたが、後に治療点として発展する。

・絡脈には経絡の表裏に加え、子午の表裏に関わると思われる症状も多い。

「血気痰飲、積聚し有形の物は、経より絡に滞ること常のごとし」と言われる。

 

《経別》十二経の支流(別行する正経とも)。

臓腑と表裏の経脈を交流させ、最終的にはいずれも陽経に合流し、頭部へ上行する。

『離別(正経から分枝するところ)』『入(体内に入るところ)』『出(体外に出るところ)』『合(表裏経と合するところ)』の走行原則をもち、経絡-臓腑間の関係を強化する。

・経別に主治はない。が、陰経の経気を頭部に運搬する理論根拠となる。例えば、肝から生じた頭痛は足少陽胆経にて治療する。

※経別の理論は、頭街-霊枢衛気第五十二-、髄海-霊枢海論第三十三-とも関係が深く、頭皮鍼法(頭皮のツボで全身を治療する考え方)などの理論根拠ともなる。

※経別と絡脈はともに表裏をつなぐが、経別は腹腔内で表裏の臓腑と、頭部(脳と五感)をつなぐ。対して絡脈は表層にて表裏の経絡をつなぎ、末梢での血流および陰陽の循環を高めている。

 

【複合的臓腑連関(当院作成)】

「気血津液の通路として臓腑を結び全身を貫き、体内の機能を調節・統合する」のが経絡と定義すると、東洋医学の臓腑のつながりには、基本として3つのシステムがある。

・経絡の層である『三陰三陽』のシステム

・臓と腑と経絡をつなぐ『表裏』のシステム(経脈・絡脈・経別)

・時間と経絡(代謝)をつなぐ『子午』のシステム

この3つのシステムを複合的にまとめたのが、上の図式。

興味深いことに、この形は内部に螺旋を有し、五行相生を逆になぞる形で臓腑が納まる。

また、この螺旋を描くのは『陰陽』と『子午』の関係のみで、『表裏』の関係は螺旋そのものに関与しない。

しかし、『表裏』の関係を除いてしまうと、螺旋は円となり、螺旋としてなりたたなくなる。

 

東西問わず、螺旋は「動き(生命)」を、円は「完全(無)」を表現することが多い。

この図式を哲学的にみるなら、臓腑の表裏(一般的な正経十二経のつながり)は、螺旋を形成する枠・・・

生命活動を維持するための枠として、大切なのではないか?

 

こういった思想的な問題だけではなく、当院では、上の図は配穴の合理性などにも用いいる。

その辺りに関して、各穴の配穴欄にて詳しく述べる。

 

《経筋》各経脈によって栄養される筋組織群。

手足末端から体幹へと延び、百骸の連結と運動・臓腑の保護を司る。

臓腑との関わりはない。例えば、足少陽経筋と胆に直接の関わりはない。

・経筋病は基本、季節変化による「痺証」、あるいは筋肉の酷使によるものとなる。

・経筋には穴がないため、経筋上の『結(連結部)』か、患部に刺鍼することが多い。-「以痛为俞」-

 

《奇経八脈》正経間の関連強化する。

・任脈『陰脈之海』

・督脈『陽脈之海』

・衝脈『五臓六腑之海』『血海』

・帯脈

・陽維脈

・陰維脈

・陽蹻脈

・陰蹻脈

 

 

【経穴とは】経絡上の「分肉之間」に存在する経気の聚まる処。

経絡内の気血の状態を把握する診断点であり反応点、加えて気血の異常を矯正する治療点でもある。

・正穴:経絡流注上に存在する穴位。名称・部位が特定されており、古典に記載のあるもの。

《五兪穴》

・井穴:脈気の出る処「心下満を治す」

「少商」 「商陽」 「厲兌」 「隠白」 「少衝」 「少澤」 「至陰」 「湧泉」 「中衝」 「関衝」 「足竅陰」 「大敦」

榮穴:脈気の溜まる処「身熱を治す」

「魚際」 「二間」 「内庭」 「大都」 「少府」 「前谷」 「足通谷」 「然谷」 「労宮」 「液門」 「侠渓」 「行間」

兪穴:脈気の注ぐ処「体重節痛を治す」

「太淵」 「三間」 「陥谷」 「太白」 「神門」 「後渓」 「束骨」 「太渓」 「大陵」 「中渚」 「足臨泣」 「太衝」

経穴:脈気の行く処「喘咳寒熱を治す」

「経渠」 「陽渓」 「解渓」 「商丘」 「霊道」 「陽谷」 「崑崙」 「復溜」 「間使」 「支溝」 「陽輔」 「中封」

合穴/下合穴:脈気の入る処「逆気而して泄するを治す」

「尺澤」 「曲池」「上巨虚」 「足三里」 「陰陵泉」 「少海」 「小海」「下巨虚」 「委中」 「陰谷」 「曲澤」 「天井」「委陽」 「陽陵泉」 「曲泉」

《五行穴》

木穴(陰経井穴/陽経兪穴)

「少商」 「三間」 「陥谷」 「隠白」 「少衝」 「後渓」 「束骨」 「湧泉」 「中衝」 「中渚」 「足臨泣」 「大敦」

火穴(陰経榮穴/陽経経穴)

「魚際」 「陽渓」 「解渓」 「大都」 「少府」 「陽谷」 「崑崙」 「然谷」 「労宮」 「支溝」 「陽輔」 「行間」

土穴(陰経兪穴/陽経合穴)

「太淵」 「曲池」 「足三里」 「太白」 「神門」 「小海」 「委中」 「太渓」 「大陵」 「天井」 「陽陵泉」 「太衝」

金穴(陰経経穴/陽経井穴)

「経渠」 「商陽」 「厲兌」 「商丘」 「霊道」 「少澤」 「至陰」 「復溜」 「間使」 「関衝」 「足竅陰」 「中封」

水穴(陰経合穴/陽経榮穴)

「尺澤」 「二間」 「内庭」 「陰陵泉」 「少海」 「前谷」 「足通谷」 「陰谷」 「曲澤」 「液門」 「侠渓」 「曲泉」

《五要穴》

原穴:脈気の過る処

「太淵」 「合谷」 「衝陽」 「太白」 「神門」 「腕骨」 「京骨」 「太渓」 「大陵」 「陽池」 「丘墟」 「太衝」

背兪穴:臓腑の気の出入する処

「肺兪」 「厥陰兪」 「心兪」 「肝兪」 「胆兪」 「脾兪」 「胃兪」 「三焦兪」 「腎兪」 「大腸兪」 「小腸兪」 「膀胱兪」

募穴:臓腑の気の募る処

「中府」 「天枢」 「中脘」 「章門」 「巨闕」 「関元」 「中極」 「京門」 「膻中」 「石門」 「日月」 「期門」

郄穴:脈気の集る処

「孔最」 「温溜」 「梁丘」 「地機」 「陰郄」 「養老」 「金門」 「水泉」 「郄門」 「会宗」 「外丘」 「中都」

絡穴:脈気の別る処

「列缺」 「偏歴」 「豊隆」 「公孫」 「通里」 「支正」 「飛揚」 「大鐘」 「内関」 「外関」 「光明」 「蠡溝」

《八会穴》

「臓会」 「腑会」 「気会」 「血会」 「骨会」 「髄会」 「脈会」 「筋会」

《八宗穴》

「列缺」 「照海」 「後渓」 「申脈」 「内関」 「公孫」 「外関」 「足臨泣」

 

・奇穴:経絡流注上に存在しない穴位。名称・部位の特定はある。

 

・阿是穴(天応穴):経絡流注上に存在せず、名称・部位の特定もない穴位。経筋病においては重要。

 

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675

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