SP21)大包(da4bao1)(だいほう)
【取穴】
側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線と第6肋間の交点にある。
【名の由来】
「包=統括」。本穴が「脾之大絡」であり、陰陽諸経を統括し、臓腑四肢を滋養する働きがある事から。
【要穴】
『脾之大絡/淵腋の下三寸から出て、胸脇に分布する』
【作用】
〔瀉〕理気活絡
【絡脈主治】
脾之大絡脈の問題
〔補〕全身の関節の不和・不随意運動(ジストニアなど?)
〔瀉〕全身の痛み(線維性筋痛症など?)
【弁証主治】
◆足太陰経(筋)病
貧血、血液疾患・動悸、心窩部痛、胸苦しさ・胃腸虚弱、萎縮性胃炎・出血傾向・萎縮性舌炎、嚥下困難・脇腹~臍の引きつれ・背深部の痛み・婦人科疾患・更年期障害・股関節痛・下腿内側痛・内踝痛・足母指痛・脈浮緩など
【主症主治】
顔の多汗
【症例/個人的見解】
・『脾之大絡』という点で言えば、大包は全経絡に交会しているとも言えるのだろうか?
・本穴が具体的にどういう機能を有するかはハッキリしない(臨床でも使いづらい場所なので)。古典には「実すると全身が尽く痛み、虚すると全身の関節に問題が生じる」とあるので、線維性筋痛症やリウマチなどへの応用は可能か?
・脾之大絡脈の病の記述や、足太陰経筋のラインを考えるに、胸裏に入る経筋は大包と関係するのでは?
・橋本敬三氏著『からだの設計にミスはない』の中で、乳幼児の発育向上と疾病予防に対し、「脇腹を軽くくすぐってやると、その刺激に反応して手足をキクキク動かして勝手に運動系を調節する。万事それでOKである」とある。大包の絡脈主治に対してとても興味深い示唆であると感じる。
・首から上の汗を抑える方法として「舞妓の高帯」と呼ばれる方法がある。皮膚圧反射を利用するもので、胸郭上部を帯などで圧迫することで、帯より上の発汗を抑制し、代わりに帯より下の発汗が増す。ツボとしては本穴と大包を挙げるものが多いが、あまりツボに拘る必要はないかも。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675