SI16)天窗(tian1chuang1)(てんそう)・窗籠・窗聾
【取穴】
前頚部、胸鎖乳突筋の後縁、甲状軟骨上縁と同じ高さ。
※胸鎖乳突筋は抵抗に抗して頭を反対側に向けるとより明瞭に現れる。
※ST9)人迎、LI18)扶突および甲状軟骨上縁と同じ高さにある。
※ST9)人迎は胸鎖乳突筋の前縁、SI16)天窗は胸鎖乳突筋の後縁、LI18)扶突は胸鎖乳突筋の前縁と後縁の中央にとる。
【名の由来】
「天=頭」「「窗=七竅(目鼻口耳)」。本穴が七竅の疾患を主治する事から。
【要穴】
『根結:手太陽之入』
【作用】
〔瀉〕開通七竅
【弁証主治】
◆手太陽経(筋)病
発熱による疼痛・白内障・視力低下・耳鳴、難聴・項頚部痛・下顎痛・頚部静脈瘤・肩、肩胛骨痛・上肢後内側の痛み、火照り・第5指痛など
【主症主治】
失語症・発声障害、しわがれ声・味覚異常
【配穴】
+巨髎…頬痛〔瀉法〕
【症例/個人的見解】
・陽経における根結において、『入』の穴は絡穴と、胸鎖乳突筋周囲の2点がある。この頚の6点は、各経(経筋)の病態を判断する診断点として使用できるように感じる。
・個人的には、上述の『入』と、頚前筋の分布になにかしらの関連を感じる。胸鎖乳突筋のすぐ裏には頸動脈鞘があり、脳の主要動静脈に加え、迷走神経も、この鞘に包まれている。このことから、胸鎖乳突筋上に分布する各『入』は、経筋のみならず、自律神経系や脳の代謝異常にも運用できるのではないだろうか?
・インド医学にも「マルマ(marman)」と呼ばれるツボに該当する概念がある。本穴はインド医学的には「manya(うなじ/脈管のマルマ)」と呼ばれ、発声障害、しわがれ声・味覚異常に治効があるとされる。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675