HT8)少府(shao3fu3)(しょうふ)・兌骨
【取穴】
手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・5中手骨の間。
※第4・5中手骨間、拳を握ったときに小指頭が当たるところにある。PC8)労宮と同じ高さにある。
・筋肉《支配神経》:浅指屈筋腱 Flexor digitorum superficialis tendon《正中神経(C7,8,T1) Median nerve》/深指屈筋腱 Flexor digitorum profundus tendon(内側部 Medial side)《尺骨神経(C8,T1) Ulnar nerve》/第4虫様筋 4th Lumbrical《尺骨神経深枝(C8,T1) Deep branches of Ulnar nerve》
・知覚神経:尺骨神経掌枝 Palmar cutaneous branch of ulnar nerve
・血管:総掌側中手動脈 Palmar metacarpal artery
【名の由来】
「少=少陰」「府=内府(内側)」。本穴が少陰経体内流注上の疾患に著効がある事から。
【要穴】
『手少陰経榮火穴(火経火穴/火気の強い穴)』
【作用】
〔補〕補土・寧心安神
〔瀉〕舒筋活絡・清心除煩
【弁証主治】
◆心熱証「身熱を治す」
※心瘧・発熱、小児のひきつけ・睡眠障害・喉渇・掌の火照り・心痛・動悸、胸苦しさ・臍上の強い拍動・脈浮洪・夜間に症状が悪化など
◆手少陰経(筋)病
しゃっくり・※伏梁・※肘網の痛み・上肢の痛み、冷え、静脈瘤・インポテンツなど
◆脾虚証「火経火穴/火生土/虚すれば其の母を補う」
胃腸虚弱、萎縮性胃炎・貧血、血液疾患・婦人科疾患など
【私見】
・火陰経の火穴は全経穴中、最も火陰性が強い。そういう意味では土性(脾胃・肌肉・口など)に対する補法にも応用できるのではないだろうか?
・少陰経中、最も火気の強い穴であるので、先の神門の手少陰経に関する主治はほぼ当てはまる。
・榮(火/水)穴は木(筋)を挟む。故に各経筋病にも使い勝手が良い。
※心瘧…悪寒・胸焼け・清水を見たがる・寒がるが熱は高くない。
※心積伏梁…五積之一。臍上から心窩部にかけて大きなしこりが在り、慢性化する。顔が赤い・喉が渇き、唾に血が混じる・動悸・胸苦しさ・お腹の中の熱感・掌のほてり・脈沈芤。悪化すると痙攣をおこすことも。
※肘網…肘に分布する細網(孫絡?)。脳梗塞後の肘のこわばりなどはコレによる。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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