ST42)衝陽(chong1yang2)(しょうよう)・会原・会湧・会骨・趺陽
【取穴】
足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部。
・筋肉:長趾伸筋・短母趾伸筋
・運動神経:深腓骨神経
・知覚神経:浅腓骨神経
・血管:足背動脈
【名の由来】
「衝=要衝」。本穴は足陽明経原穴であり、本経の要衝である事から。
※衝陽の脈は「胃気」の盛衰を顕し、この脈が絶えれば絶命するとある。
【要穴】
『胃原穴』
『根結:足陽明之溜』
【交会】
・経絡(2):足陽明経-衝脈
※一説には衝脈の会とも。
【作用】
〔補〕補益原気・和胃健脾・鎮驚安神
【弁証主治】
◆胃病/心包/大腸病
心療内科的病状(梅核気・過敏性腸症候群・腹張、胃腸虚弱・排便異常・掌の火照りなど)・アレルギー疾患・自己免疫疾患・黄疸・07:00~09:00あるいは19:00~21:00の異常・※副腎髄質機能亢進症状(不安障害・パニック障害・脈浮緩)など
◆足陽明経(筋)病
躁鬱・注意欠陥多動性障害、統合失調症・内眼眦痛・耳疾患・鼻血・顔面神経マヒ・チック・頬~鎖骨窩の痙攣・頚部リンパ節腫・喉の炎症・腹筋の緊張・疝痛、股関節の炎症・下肢痛、こわばり、冷えあるいは熱感、マヒなど
◆衝脈病「逆気して裏急す」
身体が膨張したように感じる(更年期障害・)〔瀉〕
身体が縮んだように感じる(貧血・サルコペニア(加齢性の筋力低下)・腹中のひきつれ、痙攣など)〔補〕
泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎など
【主症主治】
足甲痛・足第3指痛・リウマチ性結節・ガングリオン
【弁証配穴】
『原絡配穴(胃⇒脾):衝陽+公孫・漏谷』…胃(血)所生病
『原募配穴(足陽明経):衝陽+中脘』…足陽明経是動病
『原合配穴(陽明経):衝陽+足三里』…足陽明経(筋)病
【主症配穴】
+列缺…半身不随
+曲鬢…虫歯〔瀉法〕
+章門+丘墟…膵炎
【症例/個人的見解】
・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。
・本穴では「胃/心包/大腸」をつなぐ病状として、心療内科的疾患には適応と考える。
・交感神経系の異常亢進に対しては、本穴への補法(足湯などでも)は有効かと考える。
・原絡配穴の変法として衝陽+漏谷を用いた所、ひえのぼせ(特に足先の冷え)には効果的であった。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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