帯脈(Dai-mai )(Belt-vessel)
【経脈流注】-奇経八脈考-
「帯脈は、季脇の足厥陰の章門穴より起こり、足少陽と共に帯脈穴を巡り、束帯のごとく身を囲みて一周す」
「また足少陽の五枢・維道に会す」
「”霊枢(経別第十一)”に曰く、足少陰の本脈は、膕中に至り、別れて太陽経に行きて合し、上りて腎に至り、十四椎(命門)より出でて帯脈に属す」
※第一合経別(腎-膀胱)には、膀胱⇒腎⇒帯脈⇒舌本という流れが記載されている。
・左右計十一穴
※此処では「奇経八脈考」記載の八穴に加え、「霊枢経別第十一」に記載のある命門(十四椎)、宗穴である足臨泣を加え、計十一穴とする。
※「鍼灸甲乙経」「鍼灸大成」などでは、章門を含めず計六穴とする事が多い。
【概要】
・「帯=束」。帯脈を除く十二正経・奇経七脈がすべて上下に周流する中、ただこの脈だけが身体を一周し、腰腹部を縦行する全ての経脈の調柔を調節する役割を持つ事から。
・諸脈を束ね総約し、腰腹部を縦行する各々の経脈(肝・脾・腎・胆・胃・膀胱・任・督)と、四道(水道・血道・穀道・精道)が外れ乱れるのを防ぐ。
【主治】「腹満、腰溶溶として水中に坐している如し」
【私見】
・帯脈は腰腹部内外の安定に関与し、その病証は特に様々な「下脱」として現れる。その中には内臓下垂・子宮脱・陰嚢ヘルニア・脱肛などの臓器下脱から、おりものの不調・不正出血・遺精・尿漏れ・下痢などの機能的漏脱も含まれる。
・上述の「下脱」も含め、帯脈は腹圧との関係も深いと考える。そういう意味では腹横筋をはじめとする、ドローインに関わる深部筋も、帯脈を捉えてみると思い白い。
・痿証(肢体が萎弱して運動不利を生じる一連の病症)の治療には、陽明経を主に、衝脈・帯脈・督脈との関係を考慮しながら配穴すると良い。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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