PC9)中衝(zhong1chong1)(ちゅうしょう)
【取穴】
中指、中指尖端中央。
(中指、末節骨橈側、爪甲角から近位外方一分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点とも)
・知覚神経:正中神経浅枝
・血管:第2背側中手動脈の枝
【名の由来】
「衝=要衝」。本穴が中指尖端に位置し、厥陰経気が流れ着く要衝である事から。
【要穴】
『手厥陰経井木穴(火経木穴/木生火/自経母穴)』
【交会】
・経筋:手厥陰経筋の結する処
【作用】
〔瀉〕清心安神・清熱心包・開竅醒志・回陽救逆
【弁証主治】
◆温病
悪寒戦慄をともなう3日以上の高熱 、黄疸・リンパ節腫・※霍乱・炎症〔瀉血〕など
◆(心)血虚気滞証「心下満を治す/虚すれば其の母を補う」
※尸厥・萎縮性舌炎〔金針で瀉血〕・胸苦しさ・心痛、激しい動悸・掌の火照り・19:00~21:00あるいは07:00~09:00の異常・※副腎髄質機能亢進症など
◆手厥陰経(筋)病
統合失調症・顔が赤い・上肢痛、痙攣やこわばり・第3指痛など
【配穴】
+廉泉…舌下部の炎症
【私見】
・井穴はその位置的に、いずれも瀉熱作用〔瀉血〕が強い。
・経絡理論上は、労宮(火経火穴)は清熱、中衝(火経木穴)は醒神の作用がメインとなる。しかし両者は共に清熱と醒神の作用が強く、厳密に区別を付けがたい。状況に併せて使用すること。
※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。
※尸厥…突発性の昏倒。手足の冷え・鳥肌・顔色が青黒い・うわごと・咬い締め・めまい・呼吸微弱、脈絶微弱など。
※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)
・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。
・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。
・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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