BL15)心兪(xin1shu4)(しんゆ)・背兪
【取穴】
上背部、第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方一寸五分。
・筋肉:僧帽筋/菱形筋/脊柱起立筋
・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝
・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝
・血管:頚横動脈の枝、肋間動脈
※肩胛間部圧診点(気管支リンパ節の診断点)に近い。
【名の由来】
本穴が心絡の兪穴である事から。
【要穴】
『心兪穴』
『標本:手少陰之標』
【作用】
〔補〕心陽温煦・心気補益・心血補養・心絡安寧
〔瀉〕『治熱病五十九兪/清涼心火・清瀉胸中之熱・心絡通暢・瘀血散滞』
【弁証主治】
◆心虚証(手少陰経病)/督脈病
自律神経失調(副交感神経優位)、頭が重く、ふらふらする・嗜眠・掌の火照り・うつ病〔灸100壮〕・狭心症、循環器症状〔灸27~100壮〕・臍上の強い拍動・脈浮洪・11:00~13:00あるいは23:00~01:00の異常など
◆足太陽経病
風邪・発熱による疼痛など
【主症主治】
しゃっくり・肩背部痛・腰背部の痛み・背部の発疹・毒薬の解毒?
【弁証配穴】
『兪募配穴(心):心兪+巨闕』…心病
『兪原配穴(心):心兪+神門』…心火亢盛証〔瀉法〕
【主症配穴】
+神道…急性の痙攣・ひきつけ
+中脘…不安障害 〔心兪は灸〕
【私見】
・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて、刺激の種類や程度を変えるべきと考える。
・足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。上記の交感神経幹との関連も含め施術の仕方を考慮すべし。
・和漢三才図会には「禁鍼灸穴」とある。心に刺入する事を恐れた為か?
・武術的な「致命三十六穴」の一つ。肺の損傷、心房細動。
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※患門の穴/灸労穴(かんもん/きゅうろう):ほぼ心兪
※経外奇穴
【取穴】
甲紐:患者を直立させ、足の第1指尖端~足底の正中~下腿後面正中~委中穴の長さの紐。
乙紐:患者の口を閉じさせ、右口角~鼻中隔下端~左口角まで長さの紐。
甲紐の一端を鼻尖に当て、正中線~頭頂正中~背部に下垂し、その下端を脊柱上に仮点Aとする。乙紐の中央を仮点Aに当てて左右に水平に伸ばし、その両端を患門穴とする。
・筋肉:僧帽筋/菱形筋/脊柱起立筋
・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝
・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝
・血管:頚横動脈の枝、肋間動脈
【弁証主治】
心血虚証
【主症主治】
精神疲労・寝汗・顔色が黄色く肌に艶がない・無力・咳嗽喀血・食欲不振・節々が寒さで疼く・手足の火照り
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡ 048-851-9675