足 少陰 腎 経(Ki)

足少陰腎経(Zu-shaoyin-shen-jing)(Kidney-meridian)

【経脈流注】-霊枢経脈第十-

「腎足少陰の脈、足の小指の下に起り、斜めに足心を行き、然谷の下に出て内踝の後側を巡り、別れて踵中に入り、ふくらはぎの内側に出て、大腿の内後側を上る」

「脊を貫き、腎に属し膀胱を絡し、その本脈は腎から上がり肝と横隔膜を貫く。肺中に入り、咽喉を尋ね、舌本を挟む。その支脈は肺から出て絡し、胸中に注ぐ」

・左右計五十四穴

「湧泉『井木』」 「然谷『榮火』」 「太渓『兪土/原』」※「呂細」 「大鐘『絡』」 「水泉『郄』」 「照海『八宗陰蹻』」 「復溜『経金』」 「交信『陰蹻郄』」 「筑賓『陰維郄』」 「陰谷『合水』」 「横骨(禁鍼)」 「大赫」 「気穴」 「四満」 「中注」 「肓兪」 「商曲」 「石関」 「陰都」 「腹通谷」 「幽門」 「歩廊」 「神封」 「霊墟」 「神蔵」 「彧中」 「兪府」

※足少陰経と胎児の経絡

個人的には、「横骨~中注」は任脈の交会穴、「中極」「関元」「陰交」とともに胞宮と深い関わりを持ち、特に妊娠に強く関係すると考える。

一方、肓兪~幽門は胎児期の循環に強く関係するのではないだろうか? 

とするなら、出生以後の「肓兪~幽門」の経穴的な意味は少なく、このラインの運用は乳幼児期の接触鍼的な施術法に限定されるかもしれない。

※本経の体内流中は、表裏の臓腑である『腎/膀胱』はもちろん、『肺』と『肝』にも通じ、喉を通って舌本に至る。 

つまり、足少陰経で気機の調節(肺/肝の役割)へのフォローが可能と考えられる。

『募穴:京門』

『背兪穴:腎兪』

『標本』-霊枢衛気第五十二-

(標)『背(腎)兪・舌下両脈(金津・玉液)』

(本)『内踝下から上三寸中…三陰交?』

【概要】

・二陰/枢:損なうと精朽を生じる。

・気血:多気少血-素問血気形志篇第二十四-

・深度:二分(留三呼)-霊枢経水第十二-

・子午:酉刻(17:00~19:00)

※-素問運気七篇(第六十六~七十四)-に由来する時間と経絡の関係を臨床に応用したもの。此処では現在一般的な各経に対応する十二支(時刻)を表記。

 

【絡脈流注】-霊枢経脈第十-

「足少陰の別絡を『大鐘』と云い、踝後から踵を循り、別れて足太陽経に行く。その別枝は本経に沿って心包へ上り行き、外に下りて腰脊を貫く」

 

【経別(第一合)】-霊枢経別第十一-

『離(別)/入:膕/膝裏(委中)』 ※此処で一度足太陽経を合す。

『出:命門』 ※此処で帯脈へ。

『出:項(玉枕天柱)』 『合:足太陽経へ』

 

【根結】-霊枢根結第五-

『根:湧泉』 『結:廉泉』

 

【経筋(仲秋痺)】-霊枢経筋第十三-

「足少陰の筋、小指の下に起り、足太陰経筋に沿って内踝の下を斜めに行き、踵に結び、足太陽経筋と合して上り、内輔(脛骨内側顆)の下に結ぶ」

「足太陰経筋に沿って上り陰器に結び、脊内を巡り膂(個人的には骨盤を指すと考える)を挟み、上りて項に至り、枕骨(後頭骨)へ結び、足太陽経筋と合す」

・結処

『足第5指の下(至陰)』 『踵(大鐘水泉照海)』 『脛骨内側顆(陰谷)』 『陰器(横骨)』 『枕骨(脳戸玉枕)』

 

《腎》「作強之官、伎巧出為」-素問霊蘭秘典論篇第八-

・〔作強〕とは力強い動作、行動。〔作強之官〕とは、計画などを実行に移す実務官を指すと考えられる。つまり腎気が旺盛であれば、何事に対しても迅速に強力かつ緻密な行動がとれ、「技巧出なり」となる。

【精を蔵す(先天の本)】

・先天之精(腎陰/腎陽)を封蔵する。陰陽が共に蔵される事から腎を「水火之宅(陰陽両方の性質を持つ)」とも呼ぶ。

「主蟄、封藏之本、精之処也。其華在髪、其充在骨、為陰中之少陰、通于冬气」-六節蔵象論篇第九-

・先天之精は後天之精(水穀の精微)の補充を受けながら人の成長発育を司り、生殖によって次代に【精】をつなぐ事を第一義とする。

※先天之精は設計図、後天之精は物資というイメージかと。

「女子七才、腎氣盛、歯更髪長。二七而天癸至、任脈通、太衝脈盛、月時以時下、故有子。三七、腎气平均、故真牙生而長極。四七、筋骨堅、髪長極、身体盛壮。五七、陽陰脈衰、面始焦、髪始墜。六七、三陽脈衰于上、面皆焦、髪始白。七七、任脈虚、太衝脉衰少、天癸竭、地道不通、故形坏而無子也。丈夫八才、腎氣実、髪長歯更。二八、腎氣盛、天癸至、精气溢泻、陰陽和、故能有子。三八、腎气平均、筋骨勁強、故真歯生而長極。四八、筋骨隆盛、肌肉満壮。五八、腎氣衰、髪墜歯槁。六八、陽氣衰竭于上、面焦、髪鬢斑白。七八、肝氣衰、筋不能動天癸竭、精少、腎臓衰、形体皆极。八八、則歯髪去」-素問上古天真論篇第一-

【腎陰】

人体中の陰(物質・滋養・五臓・腎精・血)の根源。「元陰」「真陰」とも。

【腎陽(命門の火)】

人体中の陽(機能・温煦・六腑・腎気・気)の根源。「元陽」「真陽」とも。

【水を主る/二便を主る】

・水液の貯留・分布・排泄を司る。〔肺+脾+腎〕

【納気を主る(摂納)】

・呼吸中の吸気を司る。〔肺+腎〕

志を蔵し骨を主る】【恐怖・咸(塩・唾・骨髄・脳・耳・石脈】

「咸入腎(甘走血):腎為欠、為嚏:腎則恐:腎悪燥:腎為唾:腎藏志:腎主骨:腎脉石」-宣明五気篇第二十三-

「腎之合骨也、其栄髪也、其主腎也」-五蔵生成篇第十-

「人始生、先成精、精成而脳髄生」-霊枢経脈第十-

 

・個人的には『志』とは、「《外》への欲求に対する、社会的に適した『行動』」と考えている。

・自らの『魂(性欲や捕食欲)』を社会的に適した形で満足させるには、必ず『行動(他者とのコミュニケーション)』が必要であり、その行動を起こす意志が必要。『志』とは、その意志を指すと考える。

・『恐怖』という感情は、自身ではコントロール不可能な環境に直面した時に生じる。『恐怖』を克服するには、その環境をコントロールするための行動が必要(学習や修練など)。

・腎気が旺盛であれば何事に対しても積極的に迅速に、強力かつ緻密な行動がとれる。

・難聴は腎虚によるものが多い。

「腎気通于耳、腎和則耳能聞五音矣」-脈度第十七-

・腎は腰にあり、表裏関係にある足太陽経も含め腰部の広範囲を支配している。また加齢に代表される腎虚証は、腰の変形や萎軟などが特徴的に顕れる為、『腰は腎の府』とも呼ばれる。

「腰者、腎之府:骨者、髓之府」-脈要精微論篇第十七-

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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