BL13)肺兪(fei4shu4)(はいゆ)・膺外兪・打肩(和名)
【取穴】
上背部、第3胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方一寸五分。
※肩胛間部圧診点(気管支リンパ節の診断点)に近い。
※左側は心疾患の圧診点に近い。
・筋肉:僧帽筋/菱形筋/上後鋸筋/頚板状筋/脊柱起立筋
・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/1~4肋間神経/脊髄(胸)神経後枝
・知覚神経:脊髄神経後枝
・血管:頚横動脈の枝・肋間動脈
【名の由来】
「兪=輸送・治癒」。本穴が肺気を巡らせ、肺疾患を治す要穴である事から。
【要穴】
『肺兪穴』
【作用】
〔補〕補肺益気・温肺散邪
〔瀉〕『治熱病五十九兪/清瀉肺熱・肺気宣通』
【弁証主治】
◆肺虚証
自律神経失調(副交感神経優位)、呼吸器の虚弱、息切れ〔灸100壮〕・四肢末梢の冷え・脈浮など
◆足太陽経病
風邪・口渇・発熱による疼痛(肩背部痛)、悪寒など
◆督脈病
うつ病〔灸100壮〕・自殺企図・頭が重く、ふらふらする・痴呆など
【弁証配穴】
『兪募配穴(肺):肺兪+中府』…肺痺証
『兪原配穴(肺):肺兪+太淵』…肺気虚証〔補法〕
【主症配穴】
+風池…猫背
+缺盆…肺結核〔按摩も良し〕
+中脘…慢性の咳嗽〔喀痰が多い時には、豊隆を追加〕
+腰兪…腰痛
【症例/個人的見解】
・和漢三才図会には「禁鍼穴」とある。
・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて刺激の方法や種類を変えるべきかと考える。
・風邪初期に、吸玉をつかうことが多い。上記のように交感神経への賦活により免疫機能の向上があるのでは?施術した夜などに一時的に熱が上がることが多いが、総じて早く風邪が抜けるようである。
・精神疾患に関する主治があるが、之は本穴が挟む「身柱」の主治の影響かと思う。足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。上記の交感神経幹との関連も含めて考えるならば、統合失調症や注意欠陥多動性障害などよりも抑うつ状態に用いるべきかと。
・武術的な「致命三十六穴」の一つ。肺の損傷。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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