SI4)腕骨(wan4gu3)(わんこつ)・枕骨
【取穴】
手関節後内側、第5中手骨底部と三角骨の間の陥凹部、赤白肉際。
※SI3)後渓から第5中手骨を骨の突起まで擦上していくと、第5中手骨底部と三角骨の間の陥凹部にある。
・筋肉:小指外転筋
・運動神経:尺骨神経
・知覚神経:尺骨神経浅枝
・血管:背側手根枝(尺骨動脈)の枝
【名の由来】
「腕骨=手根骨」。本穴が第5中手骨底・三角骨間の陥凹部に在る事から。
【要穴】
『小腸原穴』
『標本:手太陽之本』 ※原文には「外踝後」とある。
【交会】
・経筋:手太陽経筋の結ぶ処(腕/手首)
【作用】
〔補〕補益原気・増液止渇
〔瀉〕利胆退黄
【弁証主治】
◆外風/太陽病(表証)
風邪(強い悪寒発熱・リンパ節腫)・発熱による疼痛など
◆内風証
血圧異常(※厥証・高血圧・脈浮洪)・黄疸・てんかん発作・眼疾患・鼻痛・顔面痙攣・顔が赤い・口が渇く・吐き気、胸苦しさ・乳腺炎・腋下のしこり、つかえ、不快感・臍左の強い拍動・性欲の異常・睾丸痛・皮膚疾患・01:00~03:00あるいは13:00~15:00の異常など
◆手太陽経(筋)病
耳鳴、難聴・下顎痛・項頚部痛・頚部静脈瘤・肩、肩胛骨痛・上肢後内側の痛み、火照り・第5指痛など
【主症主治】
半身不随〔補瀉をよく考慮して〕・肘痛・腱鞘炎
【弁証配穴】
『原絡配穴(小腸⇒心):腕骨+通里』…小腸所生病/液病
『原募配穴(手太陽経):関元+腕骨』…手太陽経病
【主症配穴】
+至陽〔金鍼〕…黄疸
【症例/個人的見解】
・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち小腸原穴である腕骨は、足厥陰肝経の病(主に所生病、黄疸)も主治とする。
・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。
・本穴では「小腸/膀胱/肝」をつなぐ病状として、表証(風邪、感染性疾患)、肝風内動に代表されるような内風証に、適応と考える。
・別名が「枕骨」であるところからも、項頚部の不調への効能はうかがえる。
※厥証・暈厥…発作性のめまい、昏倒。しばらくすると覚醒する。脳虚血性発作に近いか?
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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