GB41)足臨泣(zu2lin2qi4)(あしりんきゅう)
【取穴】
足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位、第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部。
・筋肉:第4背側骨間筋
・運動神経:外側足底神経
・知覚神経:浅腓骨神経
・血管:第4背側中足動脈
【名の由来】
本穴の効能が頭臨泣と相対し、眼病諸症を治す事から。
【要穴】
『足少陽経兪木穴(木経木穴/木気の強い穴)』
『八宗穴/八脈交会穴(×帯脈)』
【交会】※一説には足太陽経との交会とも。
【作用】
〔瀉〕利胆疏肝・利胸膈・清頭目・疏肝解鬱・理気止痛
【弁証主治】
◆帯脈病「腹満、腰溶溶として水中に坐している如し」
過敏性腸症候群・腰~側腹部痛、痙攣・サルコペニア(加齢による筋力低下)・下脱症状・痔、脱肛・泌尿器、婦人科疾患、生理不順〔灸1壮〕など
◆足少陽経(筋)病「体重節痛を治す」
黄疸・半身不随、運動機能障・頭痛・口苦・溜息・胸鎖乳突筋のこわばり・鎖骨窩痛・乳腺炎・膝外側痛・こむら返り・皮膚の乾燥など
◆心虚証/三焦虚証「木経木穴/木生火/虚すれば其の母を補う」
更年期障害(睡眠障害・不安障害・多汗・めまい・喉が渇く・動悸・※伏梁・※瘕聚・臍上の強い拍動・※副腎皮質機能亢進症状、肥満あるいは極度の痩せなど)
【主症主治】
足首痛・足第4指痛
【弁証配穴】
『八脈交会配穴:臨泣+外関』…往来寒熱・慢性的な微熱・低体温
【主症配穴】
+中渚…めまい〔瀉法〕
+率谷…偏頭痛
+合谷…顔の諸症
+通天…鼻づまり〔瀉法〕
+陽交…胸苦しさ〔瀉法〕
【症例/個人的見解】
・木陽経の木穴は全経穴中、最も木陽性が強い。そういう意味では火性(複合的臓腑連関から心/三焦)に対する補法にも応用できるのではないだろうか?個人的には更年期障害は適応と考える。
・『外関+臨泣』の配穴は、少陽の関係に基づくものと考える。そう考えると、急性の発熱というよりも、慢性的な往来寒熱、低体温などが、より適応かと。
・痿証(筋力低下)の治療には、陽明経を主に、衝脈・帯脈・督脈との関係を考慮しながら配穴すると良い。
・帯脈は腰腹部内外の安定に関与し、その病証は特に様々な「下脱」として現れる。その中には内臓下垂・子宮脱・陰嚢ヘルニア・脱肛などの臓器下脱から、おりものの不調・不正出血・遺精・尿漏れ・下痢などの機能的漏脱も含まれる。
・木(怒/魂)穴・金(悲/魄)穴はどの経絡でも精神疾患への効果が高いが、足臨泣にはあまり精神疾患への主治がない。帯脈の性質が強いためか?
※心積伏梁…五積之一。慢性の臍~心窩部にしこりがあり、胸苦しさや動悸、イライラを生じさせるもの。加えて脈沈芤・お腹の熱感・顔が赤い・唾に血が混じる・掌のほてり。甚だしきは抽搐を伴う。
※瘕聚…お腹の中に不明瞭なしこりがあり、一時的に張りがきて痛みが移動するもの。
※副腎皮質ホルモン…ステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に作用する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。
・糖質コルチコイド…血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。
・電解質コルチコイド…血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。
・副腎アンドロゲン…通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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