BL40)委中(wei3zhong1)(いちゅう)・血郄(xue4xi4)(けつげき)・郄中・委中央・腿凹・曲目秋内
【取穴】
膝後面、膝窩横紋の中央。
※脛骨神経が深部を走る。
・知覚神経:後大腿皮神経
・血管:膝窩動脈
※委中は膝を軽く屈した状態で取ると良い。
【名の由来】
「委=曲がる」。本穴が膝窩中央に在る事から。
【要穴】
『足太陽経合土穴/下合穴(水経土穴/土克水)』
【交会】
・経筋:足太陽経筋の結す処(膕)
・経別:第一合(膕/足太陽の別れ入る処・足少陰の別れ合する処)
【作用】
〔補〕壮筋補虚
〔瀉〕駆邪散滞・通経活絡・利機腰膝
〔瀉血〕涼血解毒・清熱四肢
【弁証主治】
◆気逆(血熱)証「逆気而泄を治す/土克水」
発熱、※霍乱〔立位で”アキレス腱のばし”の体勢をとって取穴〕・黄疸、血液疾患・膠原病・鼻血・乳腺炎・痔、脱肛・下痢、ひどい血便・皮膚疾患など
◆膀胱/腎病
成長発育不全・てんかん発作、脳神経症状、運動機能障害・統合失調症・睡眠障害・自律神経失調、更年期障害・顔色が黒い・泌尿器、婦人科疾患・脈沈遅など
◆足太陽経(筋)病
発熱による疼痛・項頚部痛・鎖骨窩痛・肩背部の痛みや冷え・脇痛・肘痛・こむら返り・踵痛・足第5指痛など
【主症主治】
『四総穴「腰背委中求」/腰背部痛(寒さで悪化・身体を揺すれない)』
『馬丹陽天星十二穴/腰背部痛・膝痛〔瀉血〕』
【弁証配穴】
『募合配穴(膀胱):委中+中極』…膀胱実証
『原合配穴(太陽経):京骨+委中』…太陽経(経筋)病
『四彎穴:委中+曲澤〔瀉血〕』…血熱証・熱毒証
【主症配穴】
+太陽〔瀉〕…髄膜炎 〔ふくらはぎの血絡瀉血〕
+承漿…出血が止まらない〔瀉法〕
+魚際…肩背のひきつれ
+前谷…尿色の異常
+水溝…劇症腰痛・下肢の炎症〔瀉法〕
+腎兪…腰痛〔委中のみ瀉〕
+白環兪…腰背部痛〔脚膝に腫痛のある場合に、至陰を加える〕
+昆侖…手足のおもだるさ
【私見】
・合穴、水経土穴(土克水)である事から、太陽経への瀉法に用いるには都合がよい。
・和漢三才図会に「禁灸穴」とある。要注意。
・-美容と健康の鍼灸(張仁編著・浅野周訳/三和書籍)-によれば、「小児の急性灰白髄炎(ポリオ)予防の常用穴」とある。
・武術的な「致残十八穴」の一つ。打突により下肢マヒを生じる。
※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡ 048-851-9675