SP3)太白(tai4bai2)(たいはく)
【取穴】
足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際。
【名の由来】
「太白=金星」。古代占星術において軍事・統治を意味する。本穴が急性疾患に治効がある事から。
【要穴】
『脾原穴』
『足太陰経兪土穴(土経土穴/土気の強い穴)』
【作用】
〔補〕補金・補益原気・温補健脾
〔瀉〕通経活絡・化湿和胃
【弁証主治】
◆脾/三焦/肺病「土経土穴/土生金/虚すれば其の母を補う」
代謝疾患(貧血、血液疾患・出血傾向・呼吸困難、呼吸器の虚弱・胃腸虚弱、萎縮性胃炎・※副腎皮質機能亢進症状)・※霍乱・自律神経失調など
◆足太陰経(筋)病「体重節痛を治す」
※疳証・心窩部痛・脇腹~臍の引きつれ・背深部の痛み・婦人科疾患・股関節痛・下腿内側痛・内踝痛・足母指痛・脈浮緩など
【弁証配穴】
『兪原配穴(脾):脾兪+太白』…気虚証〔補法〕
『原絡配穴(脾⇒胃):太白+豊隆』…脾所生病
『原募配穴(足太陰経):太白+章門』…足太陰経病
『二原配穴(肺/脾):太淵+太白』…肺脾気虚証〔補法〕
『原合配穴(太陰経):太白+陰陵泉』…足太陰経(筋)病
【主症配穴】
+足三里…喘息 〔先に三里を取り、後に太白を取る〕
【症例/個人的見解】
・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち脾原穴である太白は、手少陽三焦経の病も主治とする。
・土陰経の土穴は全経穴中、最も土陰性が強い。そういう意味では金性(肺/大腸・皮毛・鼻など)に対する補法にも応用できるのではないだろうか? 本穴が金星の名を冠するのも、そういう意味もあるかもしれない。
・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。
・本穴では「脾/三焦/肺」をつなぐ病状として、代謝疾患には適応と考える。
・原穴(木性/筋)は経筋病に対しても使用しやすい。
・便通に対しての症例が多い。
・個人的には、三焦の病は※副腎皮質ホルモンの亢進症状をイメージさせる。
※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。
※副腎皮質ホルモン…ステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に左右する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。
・糖質コルチコイド…血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。
・電解質コルチコイド…血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。
・副腎アンドロゲン…通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。
※疳証…慢性的な疾患によって痩せ衰え、津液が枯渇するもの。古代小児四大証(痘・麻・驚・疳)の一つ。顔色が黄色く肌に艶がない・毛髪が焦げたように細い・腹大静脈怒張・精神衰弱など。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675