BL18)肝兪(gan1shu4)(かんゆ)
【取穴】
上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方一寸五分。
・筋肉:僧帽筋/広背筋/脊柱起立筋
・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/胸背神経(広背筋)/脊髄(胸)神経後枝
・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝
・血管:肋間動脈
※背部十二指腸潰瘍圧診点(十二指腸潰瘍の診断点)に近い。
※左側は膵・肝・胆疾患の圧診点に近い。
【名の由来】
本穴が肝絡の兪穴であるところから。
【要穴】
『肝兪穴』
『標本:足厥陰之標』
【作用】
〔補〕肝血補養・補益明目
〔瀉〕『治熱病五十九兪/清瀉肝熱・行気去瘀・駆邪散滞』
【弁証主治】
◆肝(血)虚)証
貧血、血液疾患 〔灸3壮〕・筋疾患・眼疾患・吐き気・脇肋の不快感・臍左の強い拍動・01:00~03:00あるいは13:00~15:00の異常など
◆足厥陰経病
更年期障害・腰痛 〔下方に斜刺〕・泌尿器、婦人科疾患・性欲の異常など
◆足太陽経病
悪寒戦慄を伴う高熱・発作性の痙攣・ひきつけ〔灸〕・発熱による疼痛など
◆督脈病
躁鬱・注意欠陥多動性障害、統合失調症・頭が重く、ふらふらする・肩背部痛・腰背部の痛み、悪寒・膝、四肢の冷えなど
【主症主治】
しゃっくり・糖尿病
【弁証配穴】
『兪募配穴(肝):期門+肝兪』…肝病
『兪原配穴(肝):肝兪+太衝』…肝血虚証〔補法〕
【主症配穴】
『小児斜差の灸穴:肝兪〔灸…左:右〕+脾兪〔灸…右:左〕/小児疾患・疳の虫』
『胃の六つ灸:肝兪+膈兪+脾兪/胃疾患』〔灸法〕
『騎竹馬灸法:肝兪+膈兪/皮膚疾患』〔灸法〕
+上星〔瀉〕…内眼眦の炎症
+少澤…翼状片〔涙が止まらないような場合は+臨泣・頭維〕
+頭臨泣…白内障
+命門…視力低下
+商陽〔巨刺法〕…急性の失明
【私見】
・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて刺激の方法や種類を変えるべきかと考える。
・足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。上記の交感神経幹との関連も含めて、施術法を吟味すべし。
・和漢三才図会には「禁鍼穴」とある。肝に刺入する事を恐れた為か?
・古典には眼疾患に関する主治が多い。理論的には理解できるが、正直あまり臨床で使ったことはない。
・『胃の六つ灸』は、老齢の慢性の逆流性食道炎(食後のむかつき)には、効果が高いように思える。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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