禁灸穴, 禁鍼穴, 絡穴〔去痰化瘀〕, 致命三十六穴, 原穴, 各種依存症, 心包, 任脈

鳩尾(きゅうび)

CV15)鳩尾(jiu1wei3)(きゅうび)・尾翳(wei3yi4)(びえい)

【取穴】上腹部、前正中線上、胸骨体下端の下方一寸。

※腹部胃潰瘍圧診点に近い。

【名の由来】胸骨を中心とした胸郭を翼を広げた鳥に見立て、本穴がその尾にあたる事から。

【要穴】

『膏之原』

『任脈絡穴/鳩尾を下り腹に散ず』

【作用】〔瀉〕和中降逆・清心化痰

【絡脈主治】陰経全体にまたがる症状・任絡脈の瘀血痰飲証

〔補〕痒み(特にお腹)

〔瀉〕痛み(特にお腹)

【弁証主治】

◆任脈病…泌尿器、婦人科疾患・腹部のしこり・痔・糖尿病など

【主症主治】てんかん発作〔灸3~7壮。多く灸したり、鍼だと人を傷るとある〕

【配穴】

+湧泉…てんかん

+懸釐…発熱による偏頭痛〔瀉法〕

+璇璣…喉の痛み・嚥下困難〔瀉法〕

【症例/個人的見解】

・「膏之原は鳩尾に出ず」とも云う。背面の膏肓との関係が覗える。

・霊枢九針十二原第一においては、五臓の原穴左右十穴に、鳩尾と気海を加えて十二原としている。その重要性は一考かと。

 ・甲乙経・和漢三才図会に「禁鍼灸穴」とある。要注意。

・腹部の痛みや痒みにからむ記述が多く、また少年期の過剰な自慰行為なども治療範囲に入る。血熱へのアプローチとして捉えるべきか?

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。横隔膜の損傷。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675
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ED、男性不妊、泌尿器疾患, , 致命三十六穴, 免疫力、抵抗力向上, 原穴, 慢性疲労、虚弱体質, 三焦, 任脈

気海(きかい)

CV6)気海(qi4hai3)(きかい)・丹田・脖胦・下肓

【取穴】下腹部、前正中線上、臍中央の下方一寸五分。

【名の由来】「気=真気」。本穴が臍と丹田の中点にあり、真気の集まる場である事から。

【要穴】『肓之原』

【作用】

〔補〕培補元気・調補下焦・補腎益気・真陽固精

〔瀉〕行気散滞・理気行血・去邪散滞・温陽散寒

【弁証主治】

◆真陽不足〔灸補〕

脱証・小児のひきつけ・精神衰弱・難聴・内臓下垂・水様の下痢・冷え性など

◆任脈病

泌尿器、婦人科疾患・げっぷ、腹部のしこり、※瘕聚 、※奔豚〔灸100壮〕・便秘・痔・糖尿病・更年期障害など

【主症配穴】

+大巨〔瀉〕…てんかん

+水分…むくみ〔皮内鍼の様な浅刺でも可〕

+章門…下半身の冷え〔灸法〕

+三陰交…遺精

【症例/個人的見解】

・「肓之原は脖胦に出ず」と云う。霊枢九針十二原第一においては、五臓の原穴左右十穴に、鳩尾と気海を加えて十二原としている。その重要性は一考かと。

・本穴は「男子の生気之海」とされる。泌尿器疾患に。

・古典に「妊婦禁灸」とある。要注意。

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。骨盤腔内臓器の損傷。

 

※瘕聚…腹内に結塊があって、張れや痛みを伴う病証。積塊が不明瞭で、一時的に張りがきて痛みが移動するものを聚という。

※腎積奔豚…五積之一。脇腹にしこりが出来、このしこりが時々胸を衝き上げるようで苦しい・腹痛・往来寒熱・骨萎・息切れなど。

※脱証…珠ような汗がながれ、手足がひどく冷える・眼は閉じ口は開いたまま、手は巻き上がる・尿漏れ・脈微細絶。虚証。描写から考えるに、錐体路、錐体外路変性、進行性球マヒなども含まれるかと。

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ストレス/不安障害、パニック障害, 脳、神経症状, 腰背部痛, 衝脈, 足厥陰経筋, 足厥陰肝経, 兪(土/木)穴〔体重節痛を治す〕, 原穴, 各種依存症, 代謝障害

太衝(たいしょう)

LR3)太衝(tai4chong1)(たいしょう)・大衝

【取穴】足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部。

※第1・第2中足骨底部に向かって擦上したときに、陥凹部にある。

【名の由来】「太衝=大きな要衝」。本穴が足厥陰経の原穴であり、旺盛な気血がめぐる事から。

※「太衝」には穴名以外に、「内踝の上、足三陰の交わる処(太渓・復溜・交信・三陰交・筑賓・陰谷の6穴の総称…6穴については諸説あり)」という意味もある。

【要穴】

『肝原穴』

『足厥陰経兪土穴(木経土穴/木克土)』

【交会】

・経絡(2):足厥陰経-衝脈 ※一説には衝脈との交会とも。

・経別(第二合):足厥陰の別れる処(跗上)

【作用】

〔補〕補養肝血・補益原気

〔瀉〕『四関穴/疏肝理気・平肝熄風・熄風潜陽・散寒理気・疏筋活絡』

【弁証主治】『四関穴』

◆肝/心包(小腸)病

血液疾患(黄疸)・躁鬱、不安障害・注意欠陥多動性障害、統合失調症・※奔豚(激しい動悸・脈浮洪・呼吸困難・しゃっくり、げっぷ・吐き気・脇肋の不快感)・摂食障害(過食症・拒食症)・眼痛・耳鳴、難聴・臍左の強い拍動・過敏性腸症候群・下血・便秘・痔・手足の火照り・01:00~03:00あるいは13:00~15:00の異常など

◆足厥陰経(筋)病「体重節痛を治す/肝主筋」

性欲の異常、EDあるいは勃起の異常継続・陰部の痒み・下腿内側~内股のひきつれ・内踝前の痛み・足母指痛・筋力低下、筋肉がつりやすいなど

◆衝脈病「逆気して裏急す」

身体が縮んだように感じる〔補〕

身体が膨張したように感じる〔瀉〕

痴呆・自律神経失調、更年期障害・泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎など

【主症主治:『馬丹陽天星十二穴/てんかん発作・チック・視野障害・梅核気、呼吸困難・腰痛・股関節痛、鼠径ヘルニア・下肢マヒ』】

【弁証配穴】

『兪原配穴(肝):肝兪+太衝』…肝血虚証〔補法〕

『原絡配穴(肝⇒胆):太衝+光明』…肝所生病

『原募配穴(足厥陰経):太衝+期門』…足厥陰経是動病

『二原配穴(心肝):太衝+腕骨』…心肝火旺証〔瀉法〕

『二原配穴(心肝):太衝+大陵』…心肝血虚証〔補法〕

【主症配穴】

+百会…めまい・四肢の痙攣

+四神聡…頭頂部痛

+行間…頬の痙攣

+然谷…腹部の打撲、内出血〔然谷、太衝付近の静脈から瀉血〕

+大敦…陰部のひきつれ・腫脹

+関元…虫下し〔太衝は瀉〕

+中封…足がひきつれて、うまく歩けない〔爪を使う強指圧でも可〕

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の対角にある臓腑経絡も主治する。すなわち本穴は、手太陽小腸経の病(主に所生病)も主治とする。

・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。

 

・本穴では「肝/心包/小腸」をつなぐ病状として、心因性の胃腸障害・性欲、食欲の異常亢進などには適応と考える。

・『四関穴(合谷/太衝)』は、穴位としての類似性はあるが、臓腑のつながりとしては遠い。個人的には、配穴ではなく、それぞれ個別に使うべきかと思う。

・太衝之脈の有無で生死(予後)の判断をしたと言う。

 

※腎積奔豚…五積之一。脇腹にしこりが出来、このしこりが時々胸を衝き上げるようで苦しい・腹痛・往来寒熱・骨萎・息切れなど。パニック症候群に類する。

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筋の過緊張、こわばり, 足首、足、踵痛, 足少陽経筋, 足少陽胆経, 原穴, 柔軟性向上・ストレッチ

丘墟(きゅうきょ)

GB40)丘墟(qiu1xu1)(きゅうきょ)

【取穴】足関節前外側、長指伸筋腱外側の陥凹部、外果尖の前下方。

※抵抗に抗して足の第2指から第5指を伸展させると、長指伸筋腱が明瞭に現れる。

【名の由来】「丘=小さい隆起」「墟=大きい隆起」。本穴が外果の際にある事から。

【要穴】

『胆原穴(木性)』

『根結:足少陽之溜』

【作用】

〔補〕補益原気・扶正袪邪・疏肝健脾

〔瀉〕利胆疏肝・駆邪散滞・清宣少陽・鬱熱消散

【弁証主治】

◆胆病

悪寒戦慄をともなう高熱、往来寒熱・リンパ節腫・胆石〔透照海〕・几帳面な性格、イライラして怒りやすい・23:00~01:00あるいは11:00~13:00の異常など

◆心病

健忘・睡眠障害・貧血、血液疾患・喉渇・心痛・動悸、胸苦しさ・掌の火照り・臍上の強い拍動、※癥積・静脈瘤・冷えのぼせなど

◆足少陽経(筋)病

半身不随・偏頭痛・外眼眦痛・耳鳴・難聴・口苦・溜息・胸鎖乳突筋のこわばり・鎖骨窩痛・肩痛・脇肋、側腹部痛・鼠径部痛・膝外側痛・こむら返り・皮膚の乾燥など

【主症主治】足首痛・外踝痛・足甲痛・足第4指の痛み、マヒ・ガングリオン

【弁証配穴】

『原絡配穴(胆⇒肝):丘墟+蠡溝』…胆病/筋病

『原募配穴(足少陽経):日月+丘墟』…足少陽経病

『原合配穴(少陽経):丘墟+陽陵泉』…足少陽経(筋)病

【主症配穴】

+曲池…胆嚢炎・肝炎〔丘墟透照海〕〔黄疸が強い場合は腕骨・至陽を追加〕

+金門…こむら返り

+竜眼〔瀉血〕…帯状疱疹〔丘墟透照海〕

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち胆原穴である丘墟は、手少陰心経の病(主に所生病)も主治とする。

・丘墟を打つ際は、「照海」の方へ向けて刺鍼することが基本。

 

※癥積…腹内に明確なしこりがあって、痛みや張りが強く、固定して移動しないもの。

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原穴, 手少陽経筋, 手少陽三焦経, 更年期障害

陽池(ようち)

TE4)陽池(yang2chi2)(ようち)・別陽

【取穴】手関節後面、(総)指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上。

※第4・第5中手骨間隙を擦上すると触れることができる。LI5)陽渓、SI5)陽谷と同じ高さにある。

※抵抗に抗して手関節を伸展すると、総指伸筋腱はより触れやすい。

【名の由来】「池=陥凹」。本穴が手関節背(陽)面の中央陥凹にある事から。

【要穴】

『三焦原穴(木性)』

『根結:手少陽之溜』

『標本:手少陽之本?』 ※原文には「小指と薬指の間を上って二寸」とある。

【交会】・経筋:手少陽経筋の結する処

【作用】

〔補〕補益原気

〔瀉〕舒筋利節・利喉聡耳・開竅明目・宣肺解表

【弁証主治】

◆三焦/脾/胆病(気病)

更年期障害(多汗・めまい・ひえのぼせ・胃腸症状・脈浮緩・横になれないなど)・21:00~23:00あるいは09:00~11:00の異常・※副腎皮質機能亢進症状など

◆手少陽経(筋)病

耳痛・耳鳴、難聴・舌のこわばり・口渇・喉痛、嚥下困難・肘痛・上肢痛、ひきつれ、マヒ・第4指痛など

 

【弁証配穴】

『原絡配穴(三焦⇒心包):陽池+内関』…三焦病/気病

『原募配穴(手少陽経):石門+陽池』…手少陽経病

【主症配穴】+内関…脊柱管狭窄症・更年期障害

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち三焦原穴である陽池は、足太陰脾経の病(主に所生病)も主治とする。

・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。

・本穴では「脾/三焦/胆」をつなぐ病状として、更年期障害(ホルモンバランスの崩れによる心身の不調)には、適応と考える。

・少陽経筋及び三焦と子午表裏の関係にある脾は、舌に関与する。そのため舌の問題には使用しやすい。

 

※副腎皮質ホルモン…ステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に左右する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。

・糖質コルチコイド…血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。

・電解質コルチコイド…血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。

・副腎アンドロゲン…通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。

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致残十八穴, 兪(土/木)穴〔体重節痛を治す〕, 十三鬼穴(多動性精神疾患), 原穴, 各種依存症, 手厥陰経筋, 手厥陰心包経

大陵(だいりょう)

PC7)大陵(da4ling3)(だいりょう)・鬼心(gui3xin1)(きしん)・心主

【取穴】前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上。

※こぶしを作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱がより明瞭に現れる。手関節横紋の中点で長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、豆状骨近位端のHT7)神門と同じ高さにある。

【名の由来】「大陵=大きな丘」。月状骨の隆起が小高い丘を思わせる事から。

【要穴】

『手厥陰経兪土穴(火経土穴/火生土/自経子穴)』

『心包原穴』

【作用】

〔補〕補益原気

〔瀉〕清心安神・清営涼血・駆邪散滞・気血宣導・舒筋活絡

【弁証主治】

◆心/肝/胃病(痰迷心竅・痰火擾心)「実すれば其の子を瀉す」

各種依存症(摂食障害、習慣性の嘔吐、口臭、しゃっくり、げっぷ・性依存症)・躁鬱、不安障害(呼吸困難)・注意欠陥多動性障害、統合失調症・アレルギー疾患(皮膚疾患)・自己免疫疾患・黄疸・鼻血・口唇チック・心痛・激しい動悸(脈浮洪)・07:00~09:00あるいは19:00~21:00の異常など

◆手厥陰経(筋)病「体重節痛を治す」

肘痛、上肢の痛み、しびれ、痙攣やこわばり・掌の火照り・下垂手・弾発指・リウマチ性結節・第3指痛など

【主症主治】喘息・脈がはっきりしない

【弁証配穴】

【原絡配穴(心包⇒三焦):大陵+外関】…心包病/脈病

【原募配穴(手厥陰経):大陵+膻中】…手厥陰経病

【主症配穴】

『十三鬼穴:水溝〔左禾髎~右禾髎の透刺?〕⇒少商〔3分刺入〕⇒隠白〔3分刺入〕⇒太淵(大陵)〔5分刺入〕⇒申脈〔火鍼3分〕⇒風府⇒頬車〔温鍼〕⇒承漿〔左頤孔~右頤孔の透刺?〕⇒労宮(間使)⇒上星⇒会陰⇒曲池〔火鍼〕⇒鬼封〔瀉血〕/精神疾患』〔水溝から順に、症状を見ながら一つ一つ穴を加えていく。後渓を加えると尚良し〕

+尺澤…息切れ

+目窓…眼の充血と痛み〔瀉法〕

+水溝…口臭〔瀉法〕

+外関…腹痛

+関元…血尿 ※無症性血尿は膀胱腫瘍(膀胱癌)の可能性もある。要注意。

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち心包原穴である大陵は、足陽明胃経の病(主に所生病)も主治とする。

・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。

・本穴では「肝/心包/胃」をつなぐ病状として、各種依存症(薬物、たばこ、酒、糖質、性行為など)には、適応と考える。

・十三鬼穴の第四穴(千金翼方・針灸大成では『太淵』とある)。精神疾患に著効。

・武術的な「致残十八穴」の一つ。打突により握力の低下を招く。

 

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神経変性疾患, 耳鳴、難聴, 能力開発, 致残十八穴, 衝脈, 足首、足、踵痛, 足少陰経筋, 足少陰腎経, 兪(土/木)穴〔体重節痛を治す〕, 原穴, 回陽九針, 太衝(血流不全), 更年期障害

太渓(たいけい) ※呂細(ろさい)

KI3)太渓(tai4xi1)(たいけい)・呂細(lv3xi4)(ろさい)

【取穴】足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部。

【名の由来】「渓=陥凹」。本穴が腎の原穴であり、少陰の脈気が大きな流れとなる場所である事から。

【要穴】

『腎原穴』

『足少陰経兪土穴(水経土穴/土克水)』

【作用】

〔補〕『回陽九針穴/補益腎気・健脳益髄』

〔瀉〕『水兪五十七処“太衝”/通利三焦』

【弁証主治】

◆腎/心/大腸病

更年期障害(睡眠障害・不安障害・めまい・動悸、脈浮洪、臍上の強い拍動〔灸7~50壮〕・掌の火照り・11:00~13:00あるいは23:00~01:00の異常など)

加齢性の症状(サルコペニア・健忘・被害妄想・視力低下・難聴、耳鳴・口の渇き・歯痛、歯槽膿漏・排便異常など)

◆足少陰経(筋)病/衝脈病「体重節痛を治す」「逆気して裏急す」

身体が膨張したように感じる(泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎)〔瀉〕

身体が縮んだように感じる(認知症・※脱証、錐体外路系障害・貧血・喘息)〔補〕 など

 

【弁証配穴】

『兪原配穴(腎):腎兪+太渓』…腎気虚証〔補法〕

『原絡配穴(腎⇒膀胱):太渓+飛揚』…腎所生病

『二原配穴(心/腎):神門+太渓』…心腎不交証(更年期障害、不眠など)

『二原配穴(腎/大腸):太渓+合谷』…腎虚証/加齢性の症状(歯・耳・髪の問題)

『原募配穴(足少陰経):太渓+京門』…足少陰経是動病

【主症配穴】

『回陽九針穴法:瘂門⇒労宮⇒三陰交⇒湧泉⇒太渓⇒中脘⇒環跳⇒足三里⇒合谷/蘇生法?』

+湧泉…耳痛

+郄門〔瀉〕…喀血〔太渓は補〕

+紫宮〔瀉〕…胸苦しく、咳き込む〔太渓は補〕

+中脘…※霍乱〔先に太渓を取穴し、次に中脘を〕

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち腎原穴である太渓は、手陽明大腸経の病(主に所生病)も主治とする。

・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。

・本穴では「腎/心/大腸」をつなぐ病状として、更年期障害(心身のバランスの崩れ)や加齢性の感覚低下(難聴など)には、適応と考える。

・『水兪五十七処』の“太衝”に数えられる。精/血の異常に効果が高い。個人的には衝脈に属すと考える。

・原絡配穴(太渓+飛揚)にて、精神疾患に伴う足裏のほてりが緩解することは多い。

・中国では、『回陽九針穴』を順番に取穴していくと、一時的な蘇生効果があるともいわれる。

・足少陰経筋の病-仲秋痺-は「此筋折紐、紐発数甚者、死不治」とある。個人的には錐体外路系の変性疾患を思わせる。

・武術的な「致残十八穴」の一つ。捻挫、打突により足に力が入らなくなる。

 

※脱証…珠ような汗がながれ、手足がひどく冷える・眼は閉じ口は開いたまま、手は巻き上がる・尿漏れ・脈微細絶。虚証。描写から考えるに、錐体路、錐体外路変性、進行性球マヒなども含まれるかと。

※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。

 

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呂細(lv3xi4)(ろさい)・内果尖

※経外奇穴-備急千金要方-奇効良方-

【取穴】足関節後内側、内果尖。

【名の由来】「呂=古代音楽の十二律の内、陰律(六呂)」「細=弱い」。本穴を境に、少陰の脈気が大きな流れとなる事から。

【主治】歯痛〔灸27壮〕・小児の言葉が遅い・扁桃炎・痔瘻・足内側筋の痙攣

【配穴】+昆侖…慢性の膝痛・踵の痛み〔補法〕

 

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