陰蹻脈, 衝脈, 足陽明経筋, 足陽明胃経, 足少陽経筋, 妊婦禁鍼, 手太陰経筋, 治熱五十九兪

缺盆(けつぼん)

ST12)缺盆(que1pen2)(けつぼん) ・天蓋・尺蓋

【取穴】前頚部、大鎖骨上窩、前正中線の外方四寸、鎖骨上方の陥凹部。

※シュミット点(肺結核等の診断点)に近い。

【名の由来】「缺=欠けた」。鎖骨上窩の形状が、欠けた盆を思わせる事から。

【交会※古典には缺盆を交会とする記述は無い。しかし霊枢経脈第十に拠れば、膀胱経以外の陽経は、皆、缺盆より体内に入る。

・経絡(7):手足陽明経-手足少陽経-手太陽経-衝脈-陰蹻脈…「(五臓)六腑之道」

・経筋(3):手太陰・足陽明・足少陽経筋の結する処

・経別(2):第五合(手少陽の入る処)・第六合(手太陰・手陽明の出る処)

【作用】

〔補〕温補肌肉(補陽)

〔通〕通経緩脈

〔瀉〕『治熱病五十九兪/清熱胸中・理気化痰』

【弁証主治】

◆肺-大腸病

躁鬱、不安障害・アレルギー疾患・自律神経失調・呼吸器の虚弱・排便異常・脈浮・臍右の強い拍動など

◆三焦病/少陽経病

多汗・耳鳴、難聴・口苦・喉痛・溜息・上肢痛、マヒ・脇肋痛・皮膚の乾燥など

◆陽明経病

注意欠陥多動性障害、統合失調症・歯痛・頚部の腫脹など

◆手太陽経病

下顎痛・項頚部痛・肩痛、火照りなど

◆衝脈/足陽明経筋/足少陽経筋病「逆気して裏急す」

身体が膨張したように感じる〔瀉〕

身体が縮んだように感じる〔補〕

痴呆・更年期障害・泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎・半身不随・顔面神経マヒ・斜頚、チック・腹筋の緊張・股関節痛・下肢痛、こわばり、マヒ・こむら返り・筋力低下など

◆陰蹻脈病「陽緩み陰急す」

てんかん・眼裏痛・視力低下・腰痛・下半身の冷えと痛み・皮膚の強いしびれやこわばり・部位がはっきりしない疼痛・錐体外路障害など

◆手太陰経筋病

吐血・母指痛など

【主症配穴】

+期門…胸脇痛〔瀉法〕

+肺兪…肺結核〔按摩も良し〕

【症例/個人的見解】

・経絡的には気衝と並ぶ要衝であるが、和漢三才図会に「妊婦禁鍼」とある。要注意。

・実際に臨床上では、刺鍼は危険。灸法や推拿での施術が妥当かと。

・陰蹻脈は「一身左右の陰を主る」ことから、臨床では巨刺・繆刺を多用する。

・「陽緩み陰急す」を姿勢からみると、前傾前屈姿勢となる。この姿勢に加え、「蹻=足を高くあげて歩く・力強く歩く様・敏捷」を病むと考えた時、パーキンソン病をはじめとするような錐体外路系の変性疾患に対して、陰蹻脈は適応かと考える。

・陰蹻脈の病証では、表に異常がなく裏が病み(表面上に異常がないが症状が強いなど)、夜に症状がでる事が多い。

・陰を病むと熱を生ず。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675
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陽蹻脈, 足太陽経筋, 手陽明経筋, 手陽明大腸経, 手太陰経筋

肩髃(けんぐう)

LI15)(jian1yu2)(けんぐう)・髃骨・偏肩・中肩井・扁骨・肩頭・肩尖・偏骨・尚骨・肩骨・偏骨

【取穴】肩周囲部、肩峰外縁と上腕骨大結節の間の陥凹部。

※上腕を外転したとき、肩峰の前後に2つの陥凹部が現れる。LI15)肩髃は前の陥凹部にあり、後ろの陥凹部より深い。TE14)肩髎は後の陥凹部にある。

【名の由来】「髃=骨と骨の隙間」。本穴が肩峰-上腕骨骨頭の中間にある事から。

【要穴】『経別:第六合(手陽明の別れる処)』

【交会】

・経絡(3):手陽明経-足少陽経-陽蹻脈…『鍼灸大成』『鍼灸聚英』

・経筋(2):手陽明-足太陽経筋の結する処

【作用】

〔補〕壮筋補虚・強腱関節

〔瀉〕清熱四肢・舒筋活絡・理気化痰・寒湿温散〔灸〕

【弁証主治】

◆手陽明経(筋)病

歯痛・項頚部痛・頚部の腫脹・肩背のひきつれ、五十肩・上肢痛、マヒ、悪寒、炎症・第2指痛など


足少陽経病

口苦・溜息・皮膚の乾燥(顔や身体に粉をふく)など

◆陽蹻脈病/足太陽経筋病「陰緩み陽急す」

統合失調症・てんかん・悪風発熱・半身不随・睡眠障害・内眼眦痛〔巨刺法〕・項頚部痛・鎖骨窩痛・脇痛・腰背部痛・下肢外側のこわばり、こむら返り、外反足・踵痛・足第5指痛・身体を揺すれない・部位がはっきりしない疼痛など

 

【配穴】+陽渓…風疹

【症例/個人的見解】

・理論上では、非常に広範囲の疾患に有効と思える。追試対象。

・陽(維・蹻)を病むと寒を生ず。

・検証:得気は「肘尖」へと響く。

 

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発熱, 禁灸穴, 十三鬼穴(統合失調症、双極性障害), 手太陰経筋, 手太陰肺経, 井(木/金)穴〔心下満を治す〕

少商(しょうしょう)

LU11)少商(shao3shang1)(しょうしょう)・鬼信(gui3xin4)(きしん)・鬼哭

【取穴】母指末節骨橈側、爪甲角の近位外方一分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

【名の由来】「商=レ(金音)」。金経の末端(少ない)に位置する事から。

【要穴】『手太陰経井木穴(金経木穴/金克木)』

【交会】・経筋:手太陰経筋の起する処

【作用】〔瀉〕清宣肺気・開竅醒志・経気通暢・消腫喉痛

【弁証主治】

◆温病

感染症、髄膜炎、血液疾患〔金針で瀉血〕など

◆気滞証「心下満を治す/金克木」

躁鬱、不安障害など

◆手太陰経(筋)病

呼吸器の虚弱・自律神経失調・咳嗽、喘息・喉の炎症・吐血・鎖骨窩痛・上肢痛、マヒ、痙攣、ひきつれ・肘痛・母指痛、こわばり、マヒ・両手を交えてもだえる・臍右の強い拍動・脈浮など

【配穴】

『十三鬼穴:水溝〔左禾髎~右禾髎の透刺?〕⇒少商〔3分刺入〕⇒隠白〔3分刺入〕⇒太淵(大陵)〔5分刺入〕⇒申脈〔火鍼3分〕⇒風府⇒頬車〔温鍼〕⇒承漿〔左頤孔~右頤孔の透刺?〕⇒労宮(間使)⇒上星⇒会陰⇒曲池〔火鍼〕⇒鬼封〔瀉血〕/精神疾患』〔水溝から順に、症状を見ながら一つ一つ穴を加えていく。後渓を加えると尚良し〕

『鬼眼穴:少商+隠白/てんかん・統合失調症』〔4穴に各灸3壮〕


+天突〔灸3壮〕…※積聚・咳嗽・ふるえ

+百会〔灸〕…鼻血〔少商は瀉血〕

+上関〔補〕…耳鳴

+支溝…顎関節のこわばり

+曲澤…口唇が渇く・嚥下困難

+玉液・金津…扁桃腺炎(左右とも)〔瀉血〕

【症例/個人的見解】

・「禁灸穴」とある。

・木(怒/魂)穴・金(悲/魄)穴は、どの経絡でも精神疾患への効果が高い。本穴は十三鬼穴の第二穴でもあるので特に。

・井穴はその位置的に、いずれも瀉熱作用〔瀉血〕が強い。

・検証:得気は手太陽経ラインに走る感じ。「支正」あたりに届くか。

 

※積聚…お腹の中にしこりがあり、張れや痛みを伴う病証。一般に、しこりが明らかで、痛みや張りが強く、位置が一定なものを積。 しこりが不明瞭で、一時的に張りがきて痛みが移動するものを聚という。

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発熱, 眼疾患, 禁灸穴, 経外奇穴, 手太陰経筋, 手太陰肺経, 指、手、手首痛, 榮(火/水)穴〔身熱を治す〕

魚際(ぎょさい) ※鳳眼(ほうがん)

LU10)魚際(yu2ji4)(ぎょさい)

【取穴】手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際。

【名の由来】本穴位が魚の腹の様であり、また赤白肉の「際」に位置する事から。

【要穴】『手太陰経榮火穴(金経火穴/火克金)』

【交会】・経筋:手太陰経筋の結する処

【作用】

〔補〕滋陰清熱

〔瀉〕清泄肺熱・宣肺止咳・咽喉清利・舒筋活絡

【弁証主治】

◆肺実熱証「身熱を治す/火克金」

悪寒戦慄を伴う発熱・リンパ節腫・喉の炎症・急性乳腺炎・のぼせ・掌の火照りなど

◆手太陰経(筋)病

呼吸器の虚弱・自律神経失調・咳嗽、喘息・吐血・上肢痛、ひきつれ・肘痛・ばね指・両手を交えてもだえる・臍右の強い拍動・脈浮など

【配穴】

+液門…喉が渇いて痛む〔瀉法〕

+照海…喉が渇いて痛む〔補法〕

+委中…片側の脇から背中へのひきつれ

【症例/個人的見解】

・「禁灸穴」とある。

・診断点として有効。魚際の細絡が青ければ胃寒、赤ければ胃熱、黒ければ久痺。赤青黒が混じっていると寒熱が入り混じっていて、点状に青くなっていると気虚。

・榮(火/水)穴は木(筋)を挟む。故に各経筋病にも使い勝手が良い。本穴も手太陰経筋上の化膿性筋炎などには効果的と考える。

・検証:得気は鋭く「小商」と「陽渓」へと走る。

 

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鳳眼(feng4yan3)(ほうがん)

※経外奇穴『肘後備急方』

【取穴】母指指節関節横紋橈側端。母指を屈曲して取穴。

【作用】〔瀉〕通眼開竅

【名の由来】「鳳=鳳凰」。掌を広げ、母指以外の四指を鳳凰の翼に見立てた時、本穴がちょうど鳳凰の眼の位置にくる事から。

【主治】眼疾患・腱鞘炎

【症例/個人的見解】

・検証:得気はわずかに「曲池」にとどくか?

 

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致命三十六穴, 兪(土/木)穴〔体重節痛を治す〕, 八会穴, 十三鬼穴(統合失調症、双極性障害), 原穴, 慢性疲労、虚弱体質, 手太陰経筋, 手太陰肺経, 指、手、手首痛

太淵(たいえん)

LU9)太淵(tai4yuan1)(たいえん)・鬼心(gui3xin1)(きしん)・太泉

【取穴】手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部。

※手関節掌側横紋の橈側、橈骨動脈上。

【名の由来】「太=大」「淵=深い水溜り」。経渠からの流れが全て本穴に集う事から。

【要穴】

『手太陰経兪土穴(金経土穴/土生金/自経母穴)』

『肺原穴』

『標本:手太陰之本』

『八会穴:脈会』

【作用】

〔補〕補益肺気・補益原気

〔瀉〕清肺宣肺・疏理肺気・清熱解熱

【弁証主治】

◆肺虚証「虚すれば其の母を補う」

呼吸器の虚弱・自律神経失調・咳嗽、喘息・両手を交えてもだえる・臍右の強い拍動・脈浮など

◆足太陽膀胱経病

悪寒戦慄を伴う発熱・発熱による疼痛・半身不随・てんかん、痙攣・不安障害・統合失調症・不眠・頭痛・顔色が黒い・泌尿器疾患・痔・脈沈遅・部位がはっきりしない疼痛など

 

◆手太陰経(筋)病「体重節痛を治す」

呼吸困難・げっぷ・吐血・胃痛・肩背部痛・上肢痛、ひきつれ・肘痛・腱鞘炎・母指、第2指痛など

【弁証配穴】

『郄会配穴(脈):太淵+郄門・孔最』…脈病

『兪原配穴(肺):肺兪+太淵』…肺虚証〔補法〕

『原絡配穴(肺⇒大腸):太淵+偏歴』…肺病

『原募配穴(手太陰経):中府+太淵』…手太陰経病

『原合配穴(手太陰経):太淵+尺澤』…手太陰経筋病

『二原配穴(肺/心):太淵+神門』…気血両虚証〔補法〕

『二原配穴(肺/脾):太淵+太白』…肺脾気虚〔補法〕

『二原配穴(肝/肺):太淵〔補〕+太衝〔瀉〕』…肝気犯肺証

『二原配穴(肺/腎):太淵+太渓』…腎不納気証〔補法〕

【主症配穴】

『十三鬼穴:水溝〔左禾髎~右禾髎の透刺?〕⇒少商〔3分刺入〕⇒隠白〔3分刺入〕⇒太淵(大陵)〔5分刺入〕⇒申脈〔火鍼3分〕⇒風府⇒頬車〔温鍼〕⇒承漿〔左頤孔~右頤孔の透刺?〕⇒労宮(間使)⇒上星⇒会陰⇒曲池〔火鍼〕⇒鬼封〔瀉血〕/精神疾患』〔水溝から順に、症状を見ながら一つ一つ穴を加えていく。後渓を加えると尚良し〕

+列缺〔瀉〕…胸痛・痰がからんだ咳・頭痛〔繆刺〕

+液門…手足の冷え

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち肺原穴である太淵は、足太陽膀胱経の病も主治とする。本穴が十三鬼穴の第四穴(針灸聚英・針灸大成では「大陵」とする)なのも、此処に由来するものかと。

・肺・衛疾患に著効。

・検証:得気は浅層で「曲澤」、中層で「手三里」、深層で「陽渓」に走る。全体として「合谷」から示指尖端へ走る感覚はある。

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。橈骨動脈からの出血。

 

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肘痛, 合(水/土)穴(下合穴)〔逆気而泄を治す〕, 手太陰経筋, 手太陰肺経, 指、手、手首痛

尺澤(しゃくたく)

LU5)尺澤(chi3ze2)(しゃくたく)・鬼堂・鬼受

【取穴】肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部。

※肘を屈曲し、肘窩横紋上でLI11)曲池とPC3)曲澤の間にある。

※尺澤とPC3)曲澤は上腕二頭筋腱の両側に位置する。

【名の由来】「尺=前腕部=基準」「澤=くぼみ」。穴位の形状から。(寸口の上一尺にあるからとも)

【要穴】『手太陰経合水穴(金経水穴/金生水/自経子穴)』

【交会】・経筋:手太陰経筋の結する処(肘中)

【作用】

〔補〕止咳定喘・緩急止痛

〔瀉〕降下逆気・疏風解表・宣肺宣通・舒筋活絡

〔瀉血〕泄血散熱・去瘀通絡

【弁証主治】

◆気逆(肺実)証「逆気而泄を治す/実すれば其の子を瀉す」

風邪・発熱による疼痛〔巨刺〕・自律神経失調・呼吸困難・咳嗽・※霍乱〔灸〕・むくみなど

◆膀胱虚/腎虚証

成長発育不全・小児のひきつけ、夜泣き、疳の虫、咬い締め・顔色が黒い・腰痛・泌尿器、婦人科疾患・下痢・痔など

◆手太陰経(経筋)病

呼吸器の虚弱・鎖骨窩痛・上肢や肘、母指の痛み、ひきつれ・両手を交えてもだえる・臍右の強い拍動・脈浮など

【弁証配穴】

『募合配穴(肺):中府+尺澤』…肺実証

『原合配穴(手太陰経):太淵+尺澤』…手太陰経(筋)病

【主症配穴】

+陽輔…急性の痛み・しびれ

+大陵…息切れ

+中府…咳嗽・喀血

+豊隆…喀痰〔瀉法〕

+神門…上肢の悪寒

+大都…乳汁分泌不足

【症例/個人的見解】

・子午の表裏の関係から、手太陰経穴で膀胱の疾患へアプローチすることはよくある。本穴の場合、さらに膀胱の臓腑の表裏である腎の病証も多く、コレには水(腎)穴であることも関係するのではと思われる。

・検証:得気は「天井」に抜ける感覚と「合谷」方向に走る感覚がある。

 

 

※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。

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