《アーユルヴェーダ・マルマ》, うつ病(寡動性精神疾患), 督脈, 致命三十六穴, 心療内科的症状

印堂(いんどう)

GV25)印堂(yin4tang2)(いんどう)・曲眉・光明・明堂・洞房・上丹田

【取穴】頭部、前正中線上、両眉頭の間。

【名の由来】「印=印鑑」「堂=広間…ここでは額(前頭骨)」。ヒンドゥ教徒が額につける印の場所である事から。

※中国以西との文化交流は紀元前からあり、この慣習も伝わっていたものと考えられる。

【交会】・経絡(3):督脈-(足厥陰経-陰蹻脈)

※一説には陰蹻脈の交会とも。

※肝経は「目系に連なり額に出て、督脈と巓にて会す」とある。

【要穴】『前三関』

※気功用語。小周天功における重要な関所の一つ。関元・中脘・膻中とする説と、関元・膻中・印堂とする説あり。

【弁証主治】

◆督脈病/陰蹻脈病「陽緩み陰急す」

躁鬱、不安障害・頭が重く、ふらふらする・羞明・視力低下、眼裏痛〔『洞房』~『明堂』~『印堂』の透刺〕

注意欠陥多動性障害、統合失調症・意識障害、小児のひきつけ・健忘・自律神経失調、睡眠障害・肩背部痛・※昌陽脈腰痛・四肢の冷え・皮膚の強いしびれやこわばり・部位がはっきりしない疼痛・錐体外路系障害など


◆足厥陰経病

腰背部痛・性欲の異常・泌尿器、婦人科疾患〔灸〕・更年期障害など

【配穴】+風池…めまい

【症例/個人的見解】

・個人的には、Nasion(鼻根点:前頭鼻骨縫合が正中矢状面に切られる点)を印堂とすべきかと思う。

・本穴の奥には『眼窩前頭皮質』と呼ばれる場所がある。いまだに謎の多い部位だが、意思決定につよく関わる領域と考えられており、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などでは、この部位の萎縮がみられるらしい。

・こういった強いストレスからくる症状に対して、心理療法では、EMDR(Eye Movement Desensitization and Retrocession)という、過去のつらい体験を思い出させて眼球を左右に動かす療法があるが、本穴への刺激も似たような効果をだせるのではないだろうか?

・インド医学にも「マルマ(marman)」と呼ばれるツボに該当する概念がある。本穴はインド医学的には「sthapani(眉間/靭帯のマルマ)」と呼ばれ、意識障害や精神安定に治効があるとされる。本穴にセサミオイルを流し落とす技法は有名。

・道家(仙道家)などでは、印堂の上一寸を「明堂(太微西南の星の名)」、二寸を「洞房」、三寸を「上丹田」と称す。-抱朴子内篇巻之十八 地眞―

・個人的には鬱など、気力や集中力が低下している患者に対し、『洞房』~『明堂』~『印堂』の透刺を行うことが多い。

 

・「陽緩み陰急す」を姿勢からみると、前傾前屈姿勢となる。この姿勢に加え、「蹻=足を高くあげて歩く・力強く歩く様・敏捷」を病むと考えた時、パーキンソン病をはじめとするような錐体外路系の変性疾患に対して、陰蹻脈は適応かと考える。

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。脳、眼の損傷。

 

※昌陽之脈腰痛…腰痛が脇肋までひきつれ、視界がぼやけ、甚だしい時には背中が反り返り、舌が巻き上がって話せない。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675
督脈, 過敏性腸症候群, 肥満あるいは極度の痩せ, , 食欲不振

中枢(ちゅうすう)

GV7)中枢(zhong1shu1)(ちゅうすう)・十椎

【取穴】上背部、後正中線上、第10胸椎棘突起下方の陥凹部。

※Th10~L1は、子宮の内臓体性知覚反射部位に相当。

※Th10~12・S1~3は、前立腺の内臓体性知覚反射部位に相当。

【名の由来】「中=中間」「「枢=軸」。本穴の位置が背部の運動軸となる事から。

【作用】

〔補〕健脾利湿

〔瀉〕清熱止痛

【弁証主治】

◆督脈病

躁鬱・注意欠陥多動性障害、統合失調症・頭が重く、ふらふらする・肩背部痛・腰背部の痛み、悪寒・膝、四肢の冷えなど

◆胆病

几帳面な性格、イライラして怒りやすい・過敏性腸症候群・貧血、血液疾患など

【主症主治】しゃっくり・吐き気・十二指腸潰瘍・食欲不振〔灸3壮〕

【症例/個人的見解】

・本穴の左右に胆兪がある。胆の病にも有効と考える。

・和漢三才図会に「此処に三壮灸すれば善く熱を引かせ食が進む。常用常効あり」とある。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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禁鍼穴, 精神疾患, 致命三十六穴, 足厥陰経筋, 八会穴, 募穴「瀉実」, 各種依存症, 心療内科的症状, 心包, 任脈

膻中(だんちゅう)

CV17)膻中(tan2zhong1)(たんちゅう)・中丹田・上気海・元児・元見・胸堂

【取穴】前胸部、前正中線上、第四肋間と同じ高さ。

※津田胸骨点(十二指腸潰瘍などの診断点)に近い。

【名の由来】「膻中=君主の居城」。本穴が心(神)の外衛たる心包の募穴である事から。

【要穴】

『心包募穴』

『根結:足厥陰之絡』

『八会穴:気会』

『前三関』※気功用語。小周天功における重要な関所の一つ。

【交会】・経絡(5):任脈-足太陰経-手太陽経-足少陰経-手少陽経

【作用】

〔補〕補益宗気・補陽上焦

〔瀉〕脈絡温通・理気通絡・寛胸理膈

【弁証主治】

◆心包/胃病

各種依存症、摂食障害(過食、拒食・萎縮性胃炎・胃腸虚弱・げっぷなど)ストレス/不安障害、パニック障害・梅核気(嚥下困難)・※副腎髄質機能亢進症・心痛、動悸、胸苦しさ・心窩部痛・掌の火照り・19:00~21:00あるいは07:00~09:00の異常など

◆足太陰経病

血液疾患、黄疸・しゃっくりなど

◆足少陰経病(気病?)

認知症・視力の低下・喉痛・喘息〔灸7壮〕・更年期障害など

◆任脈病

泌尿器、婦人科疾患・痔・糖尿病など

◆手太陽経病

下顎痛・頚部静脈瘤・項頚部痛・肩背部、肩甲間部の痛み・上肢痛、マヒ、火照りなど

◆手少陽経病

片頭痛・歯痛・多汗・耳鳴、難聴・胸鎖乳突筋のこわばり・※副腎皮質機能亢進症状など

◆足厥陰経筋病

インポテンツあるいは勃起の異常継続・下腿内側~内股の痛み、ひきつれ・内踝痛・足母指痛など

【弁証配穴】

『郄会配穴(気):膻中+会宗・孔最・陰郄』…気病

『兪募配穴(心包・脈):膻中+厥陰兪』…心包病/ストレス障害・各種依存症など

『原募配穴(手厥陰経):大陵+膻中』…手厥陰経病

【主症配穴】

百会⇒膻中⇒玉堂…注意欠陥多動性障害、統合失調症など(熱い精神疾患)〔灸:チベット医学の技法。百会⇒膻中⇒玉堂の順に施灸していく。順番が大切らしい〕

+華蓋…息切れ〔瀉法〕

+天突…哮喘〔膻中は灸〕

+巨闕…心窩部痛、喉に痰が溜まる

+少澤〔補〕…母乳がでない〔膻中は灸〕

【症例検証/個人的見解】

・募穴はその臓腑に加え、子午の表裏にある臓腑も主治する。すなわち心包募穴である膻中は、胃の病も主治とする。

・個人的には心包/胃を包括するような症状、つまり摂食障害やストレス性の胃腸症状に、適応と考える。

・難経第三十一難には、上焦の病を治す場として本穴を挙げている。一方、和漢三才図会には「禁鍼穴」とある。

・「気会」としての具体的治効は、足少陰経病(肺腎陰虚)に由来するように思う。

・個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。心臓の損傷。

 

※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)

・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。

・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。

・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。

 

※副腎皮質ホルモン…ステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に左右する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。

・糖質コルチコイド…血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。

・電解質コルチコイド…血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。

・副腎アンドロゲン…通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。

 

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ストレス/不安障害、パニック障害, 絡穴「去痰化瘀」, 肩関節周囲炎、肩背部痛, 陰維脈, 八宗穴/八脈交会穴, 各種依存症, 心療内科的症状, 手厥陰心包経

内関(ないかん)

PC6)内関(nei4guan1)(ないかん)・陰維

【取穴】前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方二寸。

※こぶしを作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱がより明瞭に現れる。

※PC7)大陵の上方二寸。PC6)内関に対応する後側の経穴はTE5)外関である。

※長掌筋腱が不明瞭な場合は、橈側手根屈筋腱の内側に取る。

【名の由来】本穴が寸口脈の関所の役割を果たし、外関と相対する事から。

【要穴】

『手厥陰経絡穴/手首の上二寸、両筋の間を出て、本経を巡りて上行し、心に系し、心系を包み絡す』

『標本:手厥陰之本』

『八宗穴/八脈交会穴(×陰維脈)』

【作用】〔瀉〕理気鎮痛・心絡通暢・除煩寧心・和胃降逆・寛胸醒神・通経活絡・駆邪散滞

【絡脈主治】表裏にまたがる症状・手厥陰絡脈上の瘀血痰飲証

〔補〕頭のこわばり

【弁証主治】

◆陰維脈病「心痛に苦しむ」

心痛・激しい動悸、胸苦しさ〔繆刺法…反対側を瀉血〕・梅核気・しゃっくり・脇下のつかえなど

◆手厥陰経病

不眠・黄疸・顔が赤い・腋窩リンパ節腫・上腕のふるえやこわばり・掌の火照り・各種依存症・ストレス/不安障害、パニック障害・※副腎髄質機能亢進症など

【主症主治】正中神経マヒ・リウマチ〔透外関/補〕

【弁証配穴】『原絡配穴(三焦⇒心包):陽池+内関』…三焦の所生病・気病

【主症配穴】

『八脈交会配穴:内関+公孫/動悸・胸苦しさ・腹痛』〔横隔膜より上の問題は内関を主に、臍より下の問題は公孫を主に〕

+天突…肋間筋痙攣・胸苦しさ

+陽池…脊柱管狭窄症・更年期障害

+照海…産後、胎盤や羊膜がうまく出ない

左内関+右足三里…心療内科的症状〔肝気犯胃なら中脘を、鬱熱なら梁門を加える〕

【症例】

・陰維脈は血(営)に係わる心(少陰)・脾(太陰)・肝(厥陰)の機能を包括するように働く。この三臓をみた時、私は全体としては心療内科的な疾患をイメージする。「心痛に苦しむ」という病症も、循環器異常というよりはストレス(心包)によるものと考えるべきだろうか?

・吐法に用いる。

 ・個人的には、「関」の付く経穴は、筋骨格系の疼痛に有効なように感じる。本穴は胸郭を開く作用(胃腸痙攣など平滑筋の過緊張緩和)は高く、過呼吸や動悸、つわりや乗り物酔いの常用穴とされる。猫背関連で考えるなら「膈関」付近の硬さに対して、うまく使えないだろうか? 追試対象。

・つわりの常用穴とされるが、一方で妊娠悪阻のピークである三月目は、「手厥陰が主る」ともされる。 個人的には他穴を用いるべきかと考えるが・・・

 

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

・『内関+公孫』の配穴は、心包/脾の関係というより、絡穴の性質(表裏をつなぐ)を介しての心包/胃の辰戌関係に基づくものと考える。そう考えたほうが、効能の説明がつく。

・個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。

 

 

※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)

・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。

・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。

・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
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ストレス/不安障害、パニック障害, 衝脈, 足陽明経筋, 足陽明胃経, 足首、足、踵痛, 原穴, 心療内科的症状

衝陽(しょうよう)

ST42)衝陽(chong1yang2)(しょうよう)・会原・会湧・会骨・趺陽

【取穴】足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部。

【名の由来】「衝=要衝」。本穴は足陽明経原穴であり、本経の要衝である事から。

※衝陽の脈は「胃気」の盛衰を顕し、この脈が絶えれば絶命するとある。

【要穴】

『胃原穴』

『根結:足陽明之溜』

【交会】・経絡(2):足陽明経-衝脈

※一説には衝脈の会とも。

【作用】〔補〕補益原気・和胃健脾・鎮驚安神

【弁証主治】

◆胃病/心包/大腸病

心療内科的病状(梅核気・過敏性腸症候群・腹張、胃腸虚弱・排便異常・掌の火照りなど)・アレルギー疾患・自己免疫疾患・黄疸・07:00~09:00あるいは19:00~21:00の異常・※副腎髄質機能亢進症状(不安障害・パニック障害・脈浮緩)など

◆足陽明経(筋)病

躁鬱・注意欠陥多動性障害、統合失調症・内眼眦痛・耳疾患・鼻血・顔面神経マヒ・チック・頬~鎖骨窩の痙攣・頚部リンパ節腫・喉の炎症・腹筋の緊張・疝痛、股関節の炎症・下肢痛、こわばり、冷えあるいは熱感、マヒなど

◆衝脈病「逆気して裏急す」

身体が膨張したように感じる(更年期障害・)〔瀉〕

身体が縮んだように感じる(貧血・サルコペニア(加齢性の筋力低下)・腹中のひきつれ、痙攣など)〔補〕

泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎など

 

【主症主治】足甲痛・足第3指痛・リウマチ性結節・ガングリオン

【弁証配穴】

『原絡配穴(胃⇒脾):衝陽+公孫・漏谷』…胃(血)所生病

『原募配穴(足陽明経):衝陽+中脘』…足陽明経是動病

『原合配穴(陽明経):衝陽+足三里』…足陽明経(筋)病

【主症配穴】

+列缺…半身不随

+曲鬢…虫歯〔瀉法〕

+章門+丘墟…膵炎

【症例/個人的見解】

・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の表裏にある臓腑経絡も主治する。すなわち胃原穴である衝陽は、手厥陰心包経の病(主に所生病)も主治とする。

・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。

・本穴では「胃/心包/大腸」をつなぐ病状として、心療内科的疾患には適応と考える。

・個人的には、※副腎髄質ホルモンの亢進症状が心包の病をイメージさせる。交感神経系の異常亢進に対しては、本穴への補法(足湯などでも)は有効かと考える。

・原絡配穴の変法として衝陽+漏谷を用いた所、ひえのぼせ(特に足先の冷え)には効果的であった。

 

※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)

・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。

・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。

・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675
《経外奇穴》, ストレス/不安障害、パニック障害, 精神安定、リラックス, 脛街/血海, 致残十八穴, 風邪、呼吸器疾患, 足陽明経筋, 足陽明胃経, 免疫異常, 各種依存症, 合/下合(水/土)穴「逆気而泄を治す」, 回陽九針, 小児禁灸, 心療内科的症状, 慢性疲労、虚弱体質, 更年期障害, 治熱五十九兪, 消化器疾患, 中風七穴

足三里(あしさんり) ※闌尾(らんび)

 

ST36)足三里(zu2san1li3)(あしさんり)・下陵(xia4ling2)(げりょう)・鬼邪・中兪髎

【取穴】

下腿前面、ST35)犢鼻とST41)解渓を結ぶ線上、ST35)犢鼻の下方三寸。

※前脛骨筋上にある。

※足三里~解渓は足首を背屈して取ると良い。

【名の由来】

「里=集まる」。本穴が犢鼻の下三寸にある事から。(本穴が三部三焦の疾患を治療できるところからとも

【要穴】

『足陽明経合土穴/胃下合穴(土経土穴/土気の強い穴)』

『根結:足陽明之注』

【作用】

〔補〕『補中益気・脾胃温補・調和気血』

〔瀉〕『治熱病五十九兪/瀉火・清瀉胃熱』

〔通〕『水穀之海之兪/和胃通腸・去痰導滞』

【弁証主治/諸病皆治す―秦承祖-】

◆心包熱証 「土経土穴/火生土/実すれば其の子を瀉す」「逆気而泄を治す」

各種依存症・緊急反応(※副腎髄質機能亢進・脈浮洪など)・免疫異常(黄疸・リンパ節腫・喉痛)など

◆足陽明経(筋)病

耳鳴、難聴・顔面神経マヒ・頬~鎖骨窩の痙攣・腹筋の緊張など

【主症主治:脛街/血海の病】

『四総穴:腹部の症状/腹痛、胃の冷え、ひどい下痢、その他消化器疾患』

『馬丹陽天星十二穴/胸やけ、胃もたれ・大腿や膝の炎症、痛み・風邪の後の痩せ、その他』

『脚気八処之穴の五/脚気〔灸100壮〕・下肢の筋力低下・足腰のむくみと冷え』

【弁証配穴】

『原合配穴(陽明):足三里+合谷』…腑病・胃気の病全般

『募合配穴(胃):中脘+足三里(+四縫穴・豊隆)』…食積胃脘証・胃寒証

『原合配穴(陽明経):衝陽+足三里』…足陽明経(経筋)病

【主症配穴】

『回陽九針穴法:瘂門⇒労宮⇒三陰交⇒湧泉⇒太渓⇒中脘⇒環跳⇒足三里⇒合谷/蘇生法?』

『中風七穴:百会+風池(曲鬢)+肩井+大椎(風市)+足三里+間使(懸鐘)+曲池/半身不随』

+間使…発熱悪寒

+水溝…意識障害

+肝兪〔補〕…立ちくらみ〔先補後瀉〕〔足三里は瀉〕

+気海…息切れ

+太白…喘息 〔先に三里を取り、後に太白を取る〕

+少衝〔瀉〕…母乳が出にくい・急性乳腺炎

+下脘…胃のひきつれ・嘔吐・しゃっくり〔瀉法〕

+中脘…胃炎

+期門…※霍乱〔瀉法。中脘は深く刺して良し〕

+内庭…細菌性の下痢

+支溝〔補〕…便秘

+陰陵泉…排尿障害・尿が濁る

+腕骨…急性の強い腰痛、股関節痛

右足三里+左内関…心療内科的症状〔肝気犯胃なら中脘を、鬱熱なら梁門を加える〕

【症例検証/個人的見解】

・本穴は特に「諸病皆治」とされる。 土経土穴(中央)という意味合いと、実際の臨床での汎用性の高さからかと思うが、特に『四総穴』『天星十二穴』に特記されるような胃腸症状、および『脚気八処』に挙げられる下肢の症状には効果が高い。

・土陽経の土穴は全経穴中、最も土陽性が強い。 そういう意味では火性(心包・血脈・各種依存症など)に対する瀉法にも応用できるのではないだろうか? 

・また土穴は中央という意味も兼ねるため、陽経では原穴に準じた運用をされることが多い。 つまり原穴同様、子午の表裏である手厥陰心包経の病にも適用可能。陽証全般に適用かと思われる。

・和漢三才図会に、「小児は禁灸、三十才以後は努めて灸すべし」とある。

・中国では『回陽九針穴』を順番に取穴していくと、一時的な蘇生効果があるともいわれる。

・気胸、暈鍼の救急穴。

・適度刺激での胃腸運動の促進作用が確認されている(極強刺激では抑制)-森秀太郎-

・徒然草(吉田兼好)には灸の記述も多い。一四八段には「四十以後の人、身に灸を加え三里を焼かざれば上気のことあり(40過ぎたら三里に灸せぇ。しないと逆上せが始まるぞ)」とあるが、更年期障害の予防としての三里灸は実際にも効果が高い。

・武術的な「致残十八穴」の一つ。打突により足に力が入らなくなる。

・脚気には、先ずビタミンB1の摂取と吸収率の改善を。

・個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。

 

※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)

・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。

・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。

・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。

 

※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。

 

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闌尾(lan2wei3)(らんび)・闌尾穴

※経外奇穴

【取穴】

下腿前面、ST35)犢鼻の下方五寸。脛骨前縁から一横指外側。

【名の由来】

本穴が虫垂炎に著効がある事から。

【主治】

虫垂炎・五十肩・胃痛・未消化便・下肢のマヒ

【配穴】

+肘尖〔灸〕…虫垂炎

 

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