絡穴「去痰化瘀」, 腰背部痛, 足太陽経筋, 足太陽膀胱経, 鼻疾患

飛揚(ひよう) ※蹻五(きょうご/伍行庵オリジナル)

BL58)飛揚(fei1yang2)(ひよう)・厥陽・飛陽・厥揚

【取穴】

下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、BL60)崑崙の上方七寸。

※BL60)崑崙の上方、BL57)承山の外下方一寸にある。

【名の由来】

「飛揚=高く飛ぶ」。本穴の位置が跳躍時に膨隆する事から。また「飛=突然」。本穴より足少陰経に突然別れ出る処からとも。

【要穴】

『足太陽経絡穴/踝の上七寸、別れて少陰へいく

『根結:足太陽之入』

【作用】

〔補〕止血

〔瀉〕舒筋活絡

【絡脈主治】表裏にまたがる症状・足太陽絡脈の瘀血痰飲証 

〔補〕鼻血 

〔瀉〕頭痛・鼻づまり・項頚部痛・腰背部痛

【弁証主治】

◆足太陽経(筋)病

風邪・発熱による疼痛・鎖骨窩痛・脇痛・坐骨神経痛・膝の炎症・こむら返り〔鍼7分+灸5壮〕・踵痛・足第5指痛・身体を揺すれないなど

【主症主治】

痔・下肢のムクミ

【弁証配穴】

『原絡配穴(腎⇒膀胱):太渓+飛揚』…腎の所生病

+申脈〔繆刺法…反対側を瀉血〕+患部周囲の夾脊穴…足太陽絡脈の実証

【主症配穴】

+上星…鼻水

+印堂…鼻づまり

【症例/個人的見解】

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

・絡脈としての飛揚は鼻に関する主治が多い。花粉症などに応用できるかと思う。

 

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※蹻五(qiao2wu3)(きょうご)

※伍行庵オリジナル。

【取穴】

下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、BL60)崑崙の上方五寸。

【名の由来】

本穴が踵(蹻)の上五寸にある事から。

【要穴】

『標本:足太陽之本(踵上五寸)』

※原文には「足太阳之本、在跟以上五寸中」とある。

【弁証主治】

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛・※会陰之脈腰痛など

【症例/個人的見解】

・『足太陽之本』である「跟上五寸」には該当する経穴がないが、『素問刺腰痛篇第四十一』にも治療のポイントとしての記載がある。飛揚~附陽の変化(筋硬結・静脈の浮沈・色など)は、眼疾患(足太陽之標)・腰痛の診断・治療に役立つと考えられる。

 

※会陰之脈腰痛…痛む部位に流れるように汗が出て、咽が渇き、水を飲むと動きたがる。

※会陰之脈…八髎穴から会陽に至るライン。巨陽之中絡。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675

皮膚疾患, 絡穴「去痰化瘀」, 肘痛, 致残十八穴, 手太陽経筋, 手太陽小腸経, 指、手、手首痛

支正(しせい)

 

SI7)支正(zhi1zheng4)(しせい)

【取穴】

前腕後内側、尺骨内縁と尺骨手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方五寸。

※SI5)陽谷とSI8)小海を結ぶ線上の中点の下方一寸にある。

【名の由来】

「支=枝」「正=正経」。本穴が手太陽経絡穴であり、分枝して手少陰経に連絡する事から。

【要穴】

『手太陽経絡穴/手首の上五寸、内にて少陰経に注ぐ。その別枝は上りて肘に行き、肩髃を絡す』

『根結:手太陽之入』

【作用】

〔補〕清熱養陰

〔瀉〕疏筋活血

【絡脈主治】表裏(手少陰経)にまたがる症状・手太陽絡脈の瘀血痰飲証

〔補〕いぼ

〔瀉〕肘関節の弛緩、マヒ〔繆刺法…反対側を瀉血〕

【弁証主治】

◆手太陽経(筋)病

発熱による疼痛・視力低下・耳鳴・下顎痛・項頚部痛・頚部静脈瘤・肩、肩胛骨痛・上肢後内側の痛み、火照り・第5指痛など

【弁証配穴】

『原絡配穴(心⇒小腸):神門+支正』…心所生病

【主症配穴】

+委中…いぼ

【症例/個人的見解】

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

・絡脈の虚によって”いぼ”が生じるとある。賀偉先生によれば、「全身のいぼに対して効果がある」という。

・武術的な「致残十八穴」の一つ。打突により握力の低下を招く。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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ストレス/不安障害、パニック障害, 眼疾患, 絡穴「去痰化瘀」, 手少陰心経, 不眠

通里(つうり)

 

HT5)通里(tong1li3)(つうり)・通理

【取穴】

前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方一寸。

※HT7)神門の上方一寸、HT4)霊道は尺骨頭の根部、HT5)通里は体部、HT6)陰郄は底部にある。

※豆状骨の上縁橈側の上方一寸にある。

【名の由来】

「通=通路」「里=裏(心臓=虚里)」。本穴が手少陰経絡穴であり、表裏を成す手太陽経への通路である事から。

【要穴】

『手少陰経絡穴/手首の一寸半から別れて上り、経を巡りて心中に入り、舌本に系し目系に属す。また別れて太陽経にいく』

【作用】

〔補〕舌絡補益・心神安定・心気補益・心血補養

〔瀉〕心竅開竅・舌絡調節・行気和血・心火清熱・寧心醒神

【絡脈主治:『馬丹陽天星十二穴』】表裏(手太陽経)にまたがる症状・手少陰絡脈の瘀血痰飲証

〔補〕急性の失語症・不安障害・食欲不振など 

〔瀉〕心窩部のつかえ〔繆刺法…反対側を瀉血〕・暴妄言、見境なく人を罵る・慢性の顔の火照り、化粧したような頬の赤み ・四肢の重だるさ・※疔・睡眠障害など

 

【弁証主治】

◆手少陰経病

上肢前内側の冷え・静脈瘤など

【弁証配穴】

『原絡配穴(小腸⇒心):腕骨+通里』…小腸所生病/液病

【主症配穴】

+解渓…頭痛・眼の充血

+中極…排尿障害

【症例/個人的見解】

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

・本穴は『馬丹陽天星十二穴』の一つに数えられる。しかし絡穴の性質(瀉法向き)から考えて、本穴において補法(虚証)で記載される主治に関しては、本穴よりも先の霊道の方がふさわしいように思う。 また霊道において瀉法とされる主治については、霊道よりも本穴がふさわしいと考える。

・手少陰絡脈は「舌本につながり、目系に属す」。ストレスに由来する眼裏痛や失語のほか、睡眠障害や心療内科的疾患も本穴の適応かと考える。

・本穴の主治まとめていて、個人的には※SLE(全身性エリテマトーデス)を連想した。応用の価値はあるかと。

・霊道、通里、陰郄、神門は一寸五分の中に密集する経穴なので、実際の臨床では効能を分けて論じるべきかは悩ましい。

 

※疔…初期は粟粒様で上に白膿頭があり、堅・根深・釘様。激痛があり、急激に拡がり黄色くなる。

※SLE(全身性エリテマトーデス)…全身各種臓器の結合組織の慢性炎症性疾患。自己免疫疾患と考えられる。 男女比1:7で10~20代が過半数。 発熱・胃腸症状・体重減少・顔面の蝶形紅斑・指先、上半身の色素沈着・脱毛・鼻血・口内炎などを生じる。ほか運動器症状(関節痛など)・腎症状(浮腫・吐き気など)・神経症状(失語症・幻視・妄想など)・呼吸器症状(呼吸困難など)・心血管症状(動悸・レイノー症など)・消化器症状(食欲不振・黄疸など)も。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675

てんかん、チック、ジストニア、顔面痙攣, バランス向上, 疼痛, 発汗調整, 絡穴「去痰化瘀」, 足太陰経筋, 足太陰脾経

大包(だいほう)

 

SP21)大包(da4bao1)(だいほう)

【取穴】

側胸部、第6肋間、中腋窩線上。

※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線と第6肋間の交点にある。

【名の由来】

「包=統括」。本穴が「脾之大絡」であり、陰陽諸経を統括し、臓腑四肢を滋養する働きがある事から。

【要穴】

『脾之大絡/淵腋の下三寸から出て、胸脇に分布する』

【作用】

〔瀉〕理気活絡

【絡脈主治】

脾之大絡脈の問題

〔補〕全身の関節の不和・不随意運動(ジストニアなど?) 

〔瀉〕全身の痛み(線維性筋痛症など?)

【弁証主治】

◆足太陰経(筋)病

貧血、血液疾患・動悸、心窩部痛、胸苦しさ・胃腸虚弱、萎縮性胃炎・出血傾向・萎縮性舌炎、嚥下困難・脇腹~臍の引きつれ・背深部の痛み・婦人科疾患・更年期障害・股関節痛・下腿内側痛・内踝痛・足母指痛・脈浮緩など

【主症主治】

顔の多汗

【症例/個人的見解】

・『脾之大絡』という点で言えば、大包は全経絡に交会しているとも言えるのだろうか?

・本穴が具体的にどういう機能を有するかはハッキリしない(臨床でも使いづらい場所なので)。古典には「実すると全身が尽く痛み、虚すると全身の関節に問題が生じる」とあるので、線維性筋痛症やリウマチなどへの応用は可能か?

脾之大絡脈の病の記述や、足太陰経筋のラインを考えるに、胸裏に入る経筋は大包と関係するのでは?

 

・橋本敬三氏著『からだの設計にミスはない』の中で、乳幼児の発育向上と疾病予防に対し、「脇腹を軽くくすぐってやると、その刺激に反応して手足をキクキク動かして勝手に運動系を調節する。万事それでOKである」とある。大包の絡脈主治に対してとても興味深い示唆であると感じる。

・首から上の汗を抑える方法として「舞妓の高帯」と呼ばれる方法がある。皮膚圧反射を利用するもので、胸郭上部を帯などで圧迫することで、帯より上の発汗を抑制し、代わりに帯より下の発汗が増す。ツボとしては本穴と大包を挙げるものが多いが、あまりツボに拘る必要はないかも。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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むくみ、冷え症, 禁灸穴, 絡穴「去痰化瘀」, 足太陰脾経, 婦人科疾患, 更年期障害

漏谷(ろうこく)

 

SP7)漏谷(lou4gu3)(ろうこく)・太陰絡

【取穴】

下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上六寸。

※SP6)三陰交の上方三寸にある。

【名の由来】

「漏=漏れる」「谷=肉の大会」。本穴が腓骨筋の際と脛骨に挟まれ、滲湿利尿の効がある事から。

【要穴】

『足太陰経絡穴?』

※甲乙経に「足太陰絡」とある。

【作用】

〔補〕健脾利湿

〔瀉〕滲湿利尿

【絡脈主治】

◆足太陰絡脈の瘀血痰飲証(寒証)

胃腸虚弱・泌尿器、婦人科疾患・四肢の冷えなど

【弁証主治】

◆足太陰経病

貧血、血液疾患・嚥下困難・心窩部痛・脈浮緩・09:00~11:00あるいは21:00~23:00の異常など

【弁証配穴】

『原絡配穴(胃⇒脾):衝陽+公孫・漏谷』…胃の所生病/血病

【症例/個人的見解】

・「禁灸穴」とある。

・脾虚寒湿や血寒血瘀など、冷えを伴う虚実夾雑証には効果が高いように感じる。

・原絡配穴の変法として衝陽+漏谷を用いた所、ひえのぼせ(特に足先の冷え)には効果的であった。

 

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ストレス/不安障害、パニック障害, 絡穴「去痰化瘀」, 衝脈, 足太陰脾経, 八宗穴/八脈交会穴, 婦人科疾患, 更年期障害, 消化器疾患

公孫(こうそん)

 

SP4)公孫(gong1sun1)(こうそん)

【取穴】

足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際。

※SP3)太白から近位に向かって擦上すると陥凹に触れる。第1中足骨底部の遠位陥凹部にある。

【名の由来】

「公孫=黄帝の姓」。脾は中土に位置し、四方を統治する事から。

【要穴・交会】

『足太陰経絡穴/足の第1中足指節関節の後一寸、別れて陽明に行き、胃腸に入り絡す』

『八脈交会穴(×衝脈)』

【作用】

〔補〕健脾和胃・理気益胃

〔瀉〕通腸化湿・降痰除煩・平衝降逆・理気寛胸

【絡脈主治】表裏(足陽明経)にまたがる症状・足太陰絡脈の瘀血痰飲証

〔補〕肝硬変など

〔瀉〕※霍乱・頭痛・※面疔・※癰など

【弁証主治】

◆足太陰経病

貧血、血液疾患・嚥下困難・心窩部痛・胃腸虚弱・脈浮緩・09:00~11:00あるいは21:00~23:00の異常など

◆衝脈病「逆気して裏急す」

身体が縮んだように感じる〔補〕

身体が膨張したように感じる〔瀉〕

痴呆・自律神経失調、更年期障害・内眼眦痛・腹中のひきつれ、痙攣・喉のつまり、喘息・泌尿器、婦人科疾患・股関節痛・筋力低下・皮膚静脈炎など

【主症主治】

足第1指のマヒ・内反尖足・足底痛

【弁証配穴】

『原絡配穴(胃⇒脾):衝陽+公孫』…胃所生病/血病

【主症配穴】

『八脈交会配穴:公孫+内関/動悸・胸苦しさ・腹痛』〔横隔膜より上の問題は内関を主に、臍より下の問題は公孫を主に〕

+液門…常に眠い

+梁丘…胃痛・悪心嘔吐

+神闕〔灸〕…腹張 〔公孫は瀉〕

【症例/個人的見解】

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

・『内関+公孫』の配穴は、心包/脾の関係というより、絡穴の性質(表裏をつなぐ)を介しての心包/胃の辰戌関係に基づくものと考える。そう考えたほうが、効能の説明がつく。

 

※面疔…初期は粟粒様で上に白膿頭があり、堅・根深・釘様。激痛があり、急激に拡がり黄色くなる。

※癰…腫大根浅、赤色を呈して痛みが強く、皮膚は薄く光沢があり、化膿しやすく、すぐふさがる。外癰・内癰がある。

※霍乱…突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。

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絡穴「去痰化瘀」, 脛街/血海, 足陽明経筋, 足陽明胃経

豊隆(ほうりゅう)

 

ST40)豊隆(feng1long2)(ほうりゅう)

【取穴】

下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上八寸。

※ST38)条口の外方1横指(中指)にある。

【名の由来】

「豊隆=豊富・盛ん」。本穴部位が筋肉豊かで盛り上がっている事から。(「豊隆=雷神」を指すことも)

【要穴】

『足陽明絡穴/踝から八寸、別れて太陰経に行き、その別枝は脛外側を循り上りて頭項を絡して諸経之気を合し、下りて咽喉を絡す』

『根結:足陽明之入』

※「別れて太陽へ走る」とも。

【作用】

〔瀉〕去痰平喘・去痰降逆・疏経活絡

【絡脈主治:脛街/血海の病】表裏(足太陰経)にまたがる症状・足陽明絡脈の瘀血痰飲証

〔補〕下肢の筋力低下・足腰の冷え、むくみなど

〔瀉〕注意欠陥多動性障害、統合失調症・てんかん、小児マヒ〔繆刺法…反対側を瀉血〕・喉痛・めまい・後頭部痛・どもり・喘息〔3分深刺〕・梅核気・甲状腺腫・胸苦しさ・動悸・胸腹部の鋭い痛みなど

【弁証主治】

◆足陽明経(筋)病

躁鬱、不安障害・耳疾患・顔面神経マヒ・頬~鎖骨窩の痙攣・腹筋の緊張・疝痛、股関節の炎症・下肢痛、こわばりなど

【弁証配穴】

『原絡配穴(脾⇒胃):太白+豊隆』…脾所生病

【主症配穴】

+強間…頭痛・めまい

+尺澤…喀痰〔瀉法〕

+中脘…蕁麻疹〔瀉法〕

【症例/個人的見解】

・胃(脾胃は生痰の源)の絡穴(有形の物は、経より絡に滞ること常の如し)故、化痰の特効穴とされる。

・絡脈は皮下静脈との関わりが深いので、瀉血が有効。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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