LR3)太衝(tai4chong1)(たいしょう)・大衝
【取穴】
足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、動脈拍動部。
※前脛骨動脈幹が弓状動脈を形成する分岐部にあたる。
※第1・第2中足骨底部に向かって擦上したときに、陥凹部にある。
・筋肉:第1背側骨間筋
・運動神経:外側足底神経
・知覚神経:深腓骨神経
・血管:第1背側中足動脈
【名の由来】
「太衝=大きな要衝」。本穴が足厥陰経の原穴であり、旺盛な気血がめぐる事から。
※「太衝」には穴名以外に、「内踝の上、足三陰の交わる処(太渓・復溜・交信・三陰交・筑賓・陰谷の6穴の総称…6穴については諸説あり)」という意味もある。
【要穴】
『肝原穴』
『足厥陰経兪土穴(木経土穴/木克土)』
【交会】
・経絡(2):足厥陰経-衝脈 ※一説には衝脈との交会とも。
・経別(第二合):足厥陰の別れる処(跗上)
【作用】
〔補〕補養肝血・補益原気
〔瀉〕『四関穴/疏肝理気・平肝熄風・熄風潜陽・散寒理気・疏筋活絡』
【弁証主治】『四関穴』
◆肝/心包(小腸)病
血液疾患(黄疸)・躁鬱、不安障害・注意欠陥多動性障害、統合失調症・※奔豚(激しい動悸・脈浮洪・呼吸困難・しゃっくり、げっぷ・吐き気・脇肋の不快感)・摂食障害(過食症・拒食症)・眼痛・耳鳴、難聴・臍左の強い拍動・過敏性腸症候群・下血・便秘・痔・手足の火照り・01:00~03:00あるいは13:00~15:00の異常など
◆足厥陰経(筋)病「体重節痛を治す/肝主筋」
性欲の異常、EDあるいは勃起の異常継続・陰部の痒み・下腿内側~内股のひきつれ・内踝前の痛み・足母指痛・筋力低下、筋肉がつりやすいなど
◆衝脈病「逆気して裏急す」
身体が縮んだように感じる〔補〕
身体が膨張したように感じる〔瀉〕
痴呆・自律神経失調、更年期障害・泌尿器、婦人科疾患・皮膚静脈炎など
【主症主治】
『馬丹陽天星十二穴/てんかん発作・チック・視野障害・梅核気、呼吸困難・腰痛・股関節痛、鼠径ヘルニア・下肢マヒ』
【弁証配穴】
『兪原配穴(肝):肝兪+太衝』…肝血虚証〔補法〕
『原絡配穴(肝⇒胆):太衝+光明』…肝所生病
『原募配穴(足厥陰経):太衝+期門』…足厥陰経是動病
『二原配穴(心肝):太衝+腕骨』…心肝火旺証〔瀉法〕
『二原配穴(心肝):太衝+大陵』…心肝血虚証〔補法〕
【主症配穴】
+百会…めまい・四肢の痙攣
+四神聡…頭頂部痛
+行間…頬の痙攣
+然谷…腹部の打撲、内出血〔然谷、太衝付近の静脈から瀉血〕
+大敦…陰部のひきつれ・腫脹
+関元…虫下し〔太衝は瀉〕
+中封…足がひきつれて、うまく歩けない〔爪を使う強指圧でも可〕
【症例/個人的見解】
・原穴はその臓腑経絡に加え、子午の対角にある臓腑経絡も主治する。すなわち本穴は、手太陽小腸経の病(主に所生病)も主治とする。
・個人的には、原穴は『複合的臓腑連関』のつながりに基づいた、三臓腑を統合したような病状に用いるべきかと考える。
・本穴では「肝/心包/小腸」をつなぐ病状として、心因性の胃腸障害・性欲、食欲の異常亢進などには適応と考える。
・『四関穴(合谷/太衝)』は、穴位としての類似性はあるが、臓腑のつながりとしては遠い。個人的には、配穴ではなく、それぞれ個別に使うべきかと思う。
・太衝之脈の有無で生死(予後)の判断をしたと言う。
※腎積奔豚…五積之一。脇腹にしこりが出来、このしこりが時々胸を衝き上げるようで苦しい・腹痛・往来寒熱・骨萎・息切れなど。パニック症候群に類する。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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