腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 致命三十六穴, 足太陽膀胱経, 治熱五十九兪

志室(ししつ)

 

BL52)志室(zhi4shi4)(ししつ)・精宮

【取穴】

腰部、第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

※BL52)志室、BL23)腎兪とGV4)命門は、第2腰椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「室=蔵」。本穴が腎兪の外に在り、腎には志が蔵される事から。

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/利水消腫・滋補腎陰』

〔瀉〕『治熱病五十九兪/清瀉腎熱・清利下焦』

【弁証主治】

◆腎陰虚証

成長発育不全、代謝不全 ・視力低下・ 耳鳴、難聴・腰背部痛・腎臓疾患・婦人科疾患〔灸〕・下痢・脈沈遅・17:00~19:00あるいは05:00~07:00の異常など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】

※霍乱

【症例/個人的見解】

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。津液代謝の異常に関しては効果が高い。

・足太陽経の背部第二行線上には「五神」を冠する穴名が多い。転じて精神疾患に効くという説もあるが、個人的にはあまり実感はない。

・本穴が腎臓疾患に著効のある事から、沢田流では本穴を『京門(腎募穴)』としている。

・武術的な「致命三十六穴」の一つ。腎臓の損傷。

 

※霍乱…熱中症に類する。突発性のひどい嘔吐と下痢、胃の気持ち悪さ。寒・熱・乾・湿の区別があり、筋肉の痙攣(特に腹筋・腓腹筋)を生じることもある。コレラや細菌性食中毒も該当。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675

《経外奇穴》, むくみ、冷え症, 糖尿病, 過敏性腸症候群, 肥満あるいは極度の痩せ, 胸背神経, 脾(膵), 腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 腰神経叢, 腰神経後枝, 足太陽膀胱経, 免疫力、抵抗力向上, 三焦

肓門(こうもん) ※痞根(ひこん)

 

BL51肓門(huang1men2)(こうもん)・痞根

【取穴】

腰部、第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:広背筋/脊柱起立筋/腰方形筋

・運動神経:胸背神経(広背筋)・脊髄(腰)神経後枝(脊柱起立筋)・腰神経叢(腰方形筋)

・知覚神経:脊髄(腰)神経後枝

・血管:腰動脈

※BL51)肓門、BL22)三焦兪とGV5)懸枢は、第1腰椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「門=出入口」。本穴が膏肓・胞肓の中間に位置し、肓兪と相対する働きを持つ事から。

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎利水』

〔瀉〕通調胃腸・化滞消痞

【弁証主治】

◆三焦病/腎病

※副腎皮質機能亢進症状・成長発育不全・肥満あるいは極度の痩せ・腹痛、胃痙攣・多汗・泌尿器、婦人科疾患・肩背や腰背の強いこわばりと痛み・脈沈遅など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【私見】

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。津液代謝の異常に関しては効果が高い。

・本穴の内方一寸五分には「三焦兪」がある。肓は「腎より生じるもの」という意味があることから、本穴は腎病に対しても有効だと思う。

・心包と三焦という臓腑は、腎との関わりが非常に強いと考えることができるのでは? 個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。

 

※副腎皮質ホルモン…ステロイドホルモン。いすれも生体のエネルギー利用を高める方向に左右する。ストレスに対して視床下部(CRH)⇒下垂体前葉(ACTH)⇒副腎皮質と、血中ホルモンの作用により促進され、血中のステロイド濃度が上位中枢に抑制的に働く。

・糖質コルチコイド…血糖値の上昇・タンパク質分解促進・抗炎症作用・免疫抑制作用・胃酸分泌促進など。クッシング症候群(過剰分泌)では、満月様顔貌・蛋白質質減少・高血糖・高血圧・精神異常などを生じる。

・電解質コルチコイド…血液量の減少やNa⁺濃度の低下に反応してNa⁺再吸収・水分再吸収・K⁺排出を促す。コン症候群(過剰分泌)では多尿・多飲・高血圧・虚弱などを生じる。

・副腎アンドロゲン…通常、活性は弱い。身体を男性化する。副腎性器症候群(過剰分泌)では、女性では体型の男性化・思春期の男性においては、精巣が未熟であるにも関わらず、第2次性徴のみが早熟する。

 

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痞根(pi3gen1)(ひこん)

※経外奇穴-医経小学-

【取穴】

腰部、第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸五分。

・筋肉:広背筋/外腹斜筋/内腹斜筋/腹横筋

・運動神経:胸背神経(広背筋)・肋間神経(すべての腹斜筋)・腸骨鼠径神経、腸骨下腹神経(内腹斜筋・腹横筋)

・知覚神経:脊髄(腰)神経後枝

・血管:腰動脈

※本穴とBL51)肓門、BL22)三焦兪、GV5)懸枢は、第1腰椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「痞=腹部のしこり」。本穴が腹部や内臓のしこりを治療し、その根を断ち切るような効果がある事から。

【主治】

貧血(汎血球減少症)・※痞気(過敏性腸症候群)〔灸:巨刺法〕・下腹部の鈍痛・肝肥大・脾臓肥大・腰痛・腸炎・しゃっくり

【症例】

腹部のしこり、痞えの特効穴。

【私見】

・実際の解剖では、第1、2椎間は「幽門平面(胃と十二指腸の移行部)」にあたる。特に左は膵臓や脾臓の位置にあたるため、糖尿病や過敏性腸症候群・汎血球減少症などでは、試みたい穴である。

 

※脾積痞気…五積之一。胃脘部に生じる円盤状・難治性のしこり。食事が身にならず、食後にお腹が張る(消化力低下)・腹鳴・嘔吐・黄疸・便秘あるいは下痢・手足が冷え、おもだるい・脈浮長など。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡ 048-851-9675

腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 足太陽膀胱経, 消化器疾患

胃倉(いそう)

 

BL50)胃倉(wei4cang1)(いそう)

【取穴】上背部、第12胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

※BL50)胃倉とBL21)胃兪は、第12胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】本穴が胃兪の外に在り、胃は倉廩之官である事から。

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎健脾・利水消腫』

〔瀉〕理気和胃

【弁証主治】

◆胃病

しゃっくり、げっぷ・消化器症状・下痢・黄疸・むくみ・脈浮緩・07:00~09:00あるいは19:00~21:00の異常など

◆腎病(腎兪)

腰背部痛・泌尿器、婦人科疾患・更年期障害・臍下の強い拍動・下腹部の鈍痛など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【症例/個人的見解】

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。津液代謝の異常に関しては効果が高い。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675
《経外奇穴》, 腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 足太陽膀胱経

白環兪(はくかんゆ) ※陽萎穴Ⅶ号

 

BL30)白環(bai2huan2shu4)(はくかんゆ)・玉環兪・玉房兪

【取穴】

仙骨部、第4後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨陵の外方一寸五分。

※仙骨裂孔の外方一寸五分、BL34)下髎と同じ高さにある。

【名の由来】

「環=巡る」。足太陽経の巡行が、本穴から向きを変え上行する事から。

また「白=精子・おりものの色」「環=貴品」。本穴が生殖器疾患に著効がある事からとも。

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎利水』

〔瀉〕疏調下焦

【弁証主治】

◆腎病

成長発育不全、代謝不全、極度の痩せ・腰痛、坐骨神経痛・不妊、EDなど泌尿器、婦人科疾患〔瀉〕・下痢・脈沈遅など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【配穴】

腰兪・白環兪+公孫…足太陰絡脈の実証〔繆刺法…反対側を取穴〕

+心兪…遺精・夢精

+委中…腰背部痛

【症例/個人的見解】

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。津液代謝の異常に関しては効果が高い。

・鍼灸甲乙経・和漢三才図会には「禁灸穴」とある。要注意。

・穴名からも、EDなどには効果が高いと思われる。実際EDに対する新穴として、白環兪の外2分に『陽萎穴Ⅶ号』がある。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
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腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 足太陽膀胱経

中膂兪(ちゅうりょゆ)

 

BL29)膂兪(zhong1lv3shu4)(ちゅうりょゆ)・脊内兪

【取穴】

仙骨部、第3後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨陵の外方一寸五分。

※BL33)中髎と同じ高さにある。

【名の由来】

「膂=脊柱起立筋」。本穴が脊柱起立筋の最下に位置する事から。

※「膂=脊柱起立筋」という説は個人的には賛成できない。各文献などの「膂」の使い方から見るに、「膂=骨盤」を指すように思う。

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎利水』

〔瀉〕清利下焦

【弁証主治】

◆腎病

成長発育不全、代謝不全・腰痛・※疝気・泌尿器、婦人科疾患 〔瀉〕・下痢・脈沈遅など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【配穴】

+肺兪…発熱

【症例/個人的見解】

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。津液代謝の異常に関しては効果が高い。

 

※疝気…元来は腹痛を指したが、現在は色々な意味をもたせている。体腔内容物が外に突出する事の総称。ヘルニア。生殖器・睾丸・陰嚢部の病証。腹部激痛に二便不通が伴う病証。腸閉塞・腹膜炎・膀胱炎・直腸炎。

 

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《アーユルヴェーダ・マルマ》, 背兪穴「補虚/交感神経賦活」, 腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 膀胱, 足太陽膀胱経, 坐骨神経痛

膀胱兪(ぼうこうゆ)

BL28)膀胱(pang2guang1shu4)(ぼうこうゆ)

【取穴】仙骨部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨陵の外方一寸五分。

※BL32)次髎と同じ高さにある。

【名の由来】本穴が膀胱絡の兪穴である事から。

【要穴】『膀胱兪穴』

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎利水』

〔瀉〕疏通膀胱・清熱利湿

【弁証主治】

◆膀胱虚証/腎病

成長発育不全、代謝不全、極度の痩せ・顔色が黒い・※癥積・腰痛・泌尿器、婦人科疾患〔瀉〕・下痢、排便異常・痔・脈沈遅など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】下肢マヒ

【弁証配穴】『兪募配穴(膀胱):中極+膀胱兪』…膀胱病

【主症配穴】

+脾兪…未消化便

+関元兪…風邪の後の腰痛

【症例/個人的見解】

・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて、刺激の種類や強弱を変えるべきと考える。

・足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。上記の交感神経幹との関連も含めて、施術法を吟味すべし。

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。膀胱炎などに。

・インド医学にも「マルマ(marman)」と呼ばれるツボに該当する概念がある。本穴はインド医学的には「kukundara(腰の凹部/骨のマルマ)」と呼ばれ、下肢マヒに治効があるとされる。

 

※癥積…お腹の中に明確なしこりがあり、痛みや張りが強く、位置が一定なもの。

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背兪穴「補虚/交感神経賦活」, 腎兪(腰痛・泌尿器、婦人科疾患), 足太陽膀胱経, 小腸

小腸兪(しょうちょうゆ)

BL27)小腸(xiao3chang2shu4)(しょうちょうゆ)

【取穴】仙骨部、第1後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨陵の外方一寸五分。

※BL31)上髎と同じ高さにある。

※妊娠月経圧診点(子宮頚部異常の診断点)に近い。

※前立腺圧診点(前立腺異常の診断点)に近い。

【名の由来】本穴が小腸絡の兪穴である事から。

【要穴】『小腸兪穴』

【作用】

〔補〕『水兪五十七処“腎兪”/補腎利水』

〔瀉〕清熱利湿

【弁証主治】

◆小腸虚証

過敏性腸症候群、心身症的な胃腸症状・躁鬱、統合失調症・顔が赤い・ひどい冷えなど

◆腎病

成長発育不全、代謝不全・泌尿器、婦人科疾患 〔瀉〕・下痢など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【弁証配穴】『兪募配穴(小腸):関元+小腸兪』…小腸病

【主症配穴】+長強〔瀉〕…二便不通

【症例/個人的見解】

・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて、刺激の種類や強弱を変えるべきと考える。

・足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。上記の交感神経幹との関連も含めて、施術法を吟味すべし。

・『水兪五十七処』の“腎兪”に数えられる。本穴は特に液の異常(湿熱や陰虚など)に関しては効果が高い。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
☎ 048-851-9675