《Ⅺ》副神経, 肩甲背神経, 肩関節周囲炎、肩背部痛, 胸神経後枝, 胸背神経, 腰背部痛, 頚神経叢, 足太陽膀胱経

膈関(かくかん)

 

BL46)膈関(ge2guan1)(かくかん)

【取穴】

上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:(僧帽筋)/広背筋/(菱形筋)/脊柱起立筋

・運動神経:(《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝)/胸背神経/肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:肋間動脈

※BL46)膈関、BL17)膈兪とGV9)至楊は、第7胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

本穴が膈兪の外にあり、横隔膜は胸部と腹部を隔てる関所のようである事から。

【作用】

〔瀉〕寛胸理膈・和胃降逆

【弁証主治】

◆血病/心-肝病〔補瀉をよく考えて〕

貧血、血液疾患、萎縮性胃炎・※積聚、※痃癖〔灸100壮〕・循環器症状・睡眠障害、いつも眠い・掌の火照り・肝疾患・脈浮洪・夕方~夜間に症状が悪化など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】

逆流性食道炎・ゲップ・しゃっくり・肩甲間部痛・背部痛 ・急性乳腺炎・母乳が出にくい・肋膜炎

【私見】

・個人的には、「関」の付く経穴は、筋骨格系の疼痛に有効なように感じる。本穴に関しては位置的問題から刺鍼したことはないが、猫背のヒトは往々にして(『至陽』を中心に)この周辺は非常に硬い。 

 

※積聚…お腹の中にしこりがあり、張痛を伴う病証。一般に、しこりが明らかで、痛みや張りが強く、位置が一定なものを積。しこりが不明瞭で、一時的に張りがきて痛みが移動するものを聚という。

※痃癖…脇肋部にある癖塊。積聚に似る。痃:臍の両側が筋張り盛り上がっているもの。痛みは無い事もある。癖:両脇にあり、痛む時だけ触知できるもの。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡ 048-851-9675

《アーユルヴェーダ・マルマ》, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 足太陽膀胱経

臆譆(いき)

 

BL45)臆譆(yi4xi1)(いき)・五胠兪

【取穴】

上背部、第6胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

※BL45)臆譆、BL16)督兪とGV10)霊台は、第6胸椎棘突起下と同じ高さにある。

・筋肉:菱形筋/脊柱起立筋

・運動神経:肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈

【名の由来】

「臆譆=溜息」。患者が溜息をすると、本穴にてその響きが一番強く感じられる事から。

※解剖学的『聴診三角』に、部位的にも一致する。

【作用】

〔瀉〕宣肺解表・和胃降逆

【弁証主治】

足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】

胸腔内の血流不全・喘息・ゲップ・肩甲間部痛・心痛・お腹の張痛

【配穴】

+然谷…半身不随(発熱・ひきつけ)

【私見】

・インド医学にも「マルマ(marman)」と呼ばれるツボに該当する概念がある。本穴はインド医学的には「brhati-siras(多くの脈管/脈管のマルマ)」と呼ばれ、胸腔内の血流不全に治効があるとされる。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
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《Ⅺ》副神経, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 頚神経叢, 足太陽膀胱経, 治熱五十九兪

神堂(しんどう)

 

BL44)神堂(shen2tang2)(しんどう)

【取穴】

上背部、第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:僧帽筋/菱形筋/脊柱起立筋

・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈

※BL44)神堂、BL15)心兪とGV11)神道は、第5胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「心=神」「堂=居室」。本穴が心兪の外にあり、心は神を宿す事から。

【要穴】

『太陽脈気の発する処』

【作用】

〔瀉〕『治熱病五十九兪/清瀉心熱・清肺寧心・理気安神』

【弁証主治】

◆心病

狭心症、循環器症状〔灸27~100壮〕・睡眠障害・掌の火照り・臍上の強い拍動・脈浮洪・11:00~13:00あるいは23:00~01:00の異常など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】

しゃっくり・嚥下、呼吸困難・過呼吸・お腹や季肋部の張痛〔鍼〕・腰背のひきつれ

【私見】

・足太陽経の背部第二行線上には「五神」を冠する穴名が多い。転じて精神疾患に効くという説もあるが、個人的にはあまり実感はない。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
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《Ⅺ》副神経, ストレス/不安障害、パニック障害, 禁鍼穴, 肋間神経, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 自律神経失調, 頚神経叢, 足太陽膀胱経, 免疫力、抵抗力向上, 各種依存症, 心包, 慢性疲労、虚弱体質

膏肓(こうこう)

BL43)膏肓(gao1huang1)(こうこう)・膏肓兪

【取穴】

上背部、第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:僧帽筋/菱形筋/上後鋸筋/脊柱起立筋

・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/1~4肋間神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈

※BL43)膏肓とBL14)厥陰兪は、第4胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「膏=心下に在り脾より生じるもの」「肓=膈上に在り腎より生じるもの」。 本穴が膏肓に位置し、此所に病が入ると深刻で不治である事から。

【作用】

〔補〕益気補虚

〔瀉〕通宣理肺

【弁証主治/癒やせぬ処なし】

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

◆心包虚証/脈病/腎病

各種依存症・※緊急反応・循環器疾患・更年期障害・泌尿器、婦人科疾患・下痢・脈沈遅など

【主症主治】

喘息・五十肩・肩こり・肋間神経痛・肋膜炎・背筋痛

【弁証配穴】

『崔氏四花(六花)灸法:膏肓+膈兪+胆兪(+肺兪)』…肺腎虚証〔灸法〕

【主症配穴】

+魄戸…肺結核

+庫房…喘息発作〔瀉法〕

【私見】

・本穴の内方一寸五分には「厥陰兪」がある。膏は「心下の脂」という意味があり、また霊枢九針十二原では「膏の原は鳩尾より出づ」とある。

・心包は「喜楽出づ」とされる。喜楽=快楽と考えると、各種依存症やストレスから生じる緊急反応などに応用できるのではと考える。

・個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。

・基本、灸穴。古典には「禁鍼多灸、21壮」とある。気胸の恐れがあるので、やはり灸が望ましい。

・和漢三才図会には「尋常必要の要穴にして、理気の良灸・諸虚の妙灸」とある。養生穴としてはとても良い。

 

※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)

・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。

・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。

・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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《Ⅺ》副神経, 肋間神経, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 自律神経失調, 頚神経叢, 風邪、呼吸器疾患, 足太陽膀胱経, 治熱五十九兪

魄戸(はくこ)

 

BL42)魄戸(po4hu4)(はくこ)・魂戸

【取穴】

上背部、第3胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:僧帽筋/菱形筋/上後鋸筋/脊柱起立筋

・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/1~4肋間神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈

※BL42)魄戸、BL13)肺兪とGV12)身柱は、第3胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

本穴が肺兪の外にあり、肺は「魄」を蔵する事から。

【作用】

〔補〕養陰清肺

〔瀉〕『治熱病五十九兪/清瀉肺熱』

【弁証主治】

◆肺虚証

呼吸器の虚弱 〔灸100壮〕、息切れ・自律神経失調、口渇・臍右の強い拍動・脈浮など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【配穴】

+膏肓…肺結核

+気舎…喘息発作〔瀉法〕

【私見】

・足太陽経の背部第二行線上には「五神」を冠する穴名が多い。転じて精神疾患に効くという説もあるが、個人的にはあまり実感はない。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡ 048-851-9675

《Ⅺ》副神経, 肋間神経, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 陽蹻脈, 頚神経叢, 足太陽膀胱経

附分(ふぶん)

 

BL41)附分(fu4fen1)(ふぶん)

【取穴】

上背部、第2胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。

・筋肉:僧帽筋/菱形筋/上後鋸筋/脊柱起立筋

・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/1~4肋間神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈

※BL41) 附分とBL12)風門は、第2胸椎棘突起下と同じ高さにある。

【名の由来】

「附=傍ら」「分=分岐」。足太陽経が大杼より分岐し、平行して下行する事から。

【交会】

・経絡(3):手足太陽経-(陽蹻脈)

※一説には陽蹻脈の会とも。

【作用】

〔瀉〕清熱散風・疏筋活絡・下毒

【弁証主治】

◆太陽経病

風邪、悪風発熱・黄疸・リンパ節腫・発熱による疼痛・難聴・下顎痛・頚部静脈瘤・項頚部痛・肩背部痛・上肢後内側の痛み、火照り・腰背部痛、腰背部の悪寒など

◆陽蹻脈病「陰緩み陽急す」

半身不随・てんかん・統合失調症・不眠・内眼眦痛〔巨刺法〕・腰背部痛・部位がはっきりしない疼痛・下肢外側のこわばり、外反足など

【私見】

・陽が病むと寒を生ず。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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《Ⅺ》副神経, 精神疾患, 肩甲背神経, 胸神経後枝, 頚神経叢, 足太陽膀胱経

督兪(とくゆ)

BL16(du1shu4)(とくゆ)・高益・高蓋

【取穴】

上背部、第6胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方一寸五分。

・筋肉:僧帽筋/菱形筋/脊柱起立筋

・運動神経:《Ⅺ》副神経、頚神経叢筋枝/肩甲背神経/脊髄(胸)神経後枝

・知覚神経:脊髄(胸)神経後枝

・血管:頚横動脈の枝、肋間動脈

※左側は肝・胆疾患の圧診点に近い。

【名の由来】

本穴が督脈の兪穴である事から。

【要穴】

『督脈兪穴』

【作用】

〔瀉〕理気寛胸

【弁証主治】

◆督脈病

〔補〕躁鬱・痴呆・頭が重く、ふらふらする・腰背や膝の悪寒など

〔瀉〕注意欠陥多動性障害、統合失調症・肩背や腰背の強いこわばりと痛み・四肢の冷え・背部の発疹など

◆足太陽経病

風邪・発熱による疼痛など

【主症主治】

ゲップ・心痛・腹張、腹鳴

【私見】

・個人的には、背部兪穴と交感神経幹の関連を考えている。交感神経の状況に応じて、刺激の種類を変えるべきかと考える。

・足太陽経の背部兪穴は、督脈の性質も帯びる。特に本穴は「督脈の兪」であるので、精神疾患には常用したい。

 

編:はりきゅう治療院 伍行庵
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