KI8)交信(jiao1xin4)(こうしん)・内筋
【取穴】
下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方二寸。
※KI7)復溜の前方五分にある。
【名の由来】
「信=五徳の土=脾」。本穴より先で脾経の三陰交と交わる事から。
【要穴】
『陰蹻脈郄穴』
【作用】
〔補〕調補肝腎
〔瀉〕『水兪五十七処“太衝”/通利三焦』
【弁証主治】
◆陰蹻脈病「陽緩み陰急す」
悪風発熱〔瀉血〕・自律神経失調・視力低下、眼裏痛・※昌陽之脈腰痛・皮膚の強いしびれやこわばり・部位がはっきりしない疼痛・錐体外路系障害など
◆足少陰経病/衝脈病「逆気して裏急す」
身体が膨張したように感じる(泌尿器、婦人科疾患・更年期障害・皮膚静脈炎)〔瀉〕
身体が縮んだように感じる(認知症・貧血・喘息・サルコペニア(加齢による筋力低下))〔補〕 など
【弁証配穴】
『郄会配穴(髄):懸鐘+交信・跗陽・水泉』…髄病
【主症配穴】
+陰包〔瀉〕…生理不順
+合陽…不正出血
【症例/個人的見解】
・『水兪五十七処』の“太衝”に数えられる。精/血の異常に効果が高い。個人的には衝脈に属すと考える。
・陰蹻脈は「一身左右の陰を主る」ことから、臨床では巨刺・繆刺を多用する。
・『陽緩み陰急す』を姿勢からみると、前傾前屈姿勢となる。この姿勢に加え、「蹻=足を高くあげて歩く・力強く歩く様・敏捷」を病むと考えた時、パーキンソン病をはじめとするような錐体外路系の変性疾患に対して、陰蹻脈は適応かと考える。
・陰蹻脈の病証では、表に異常がなく裏が病み(表面上に異常がないが症状が強いなど)、夜に症状がでる事が多い。
・照海同様、陰蹻脈に属するが、郄穴の性質上、照海より痛みに対する主治が多い。
・陰を病むと熱を生ず。
※昌陽之脈腰痛…腰痛が脇肋までひきつれ、視界がぼやけ、甚だしい時には背中が反り返り、舌が巻き上がって話せない。
※-素問刺腰痛篇第四十一-に記載の『昌陽之脈』を、陰蹻脈とする説もある。「昌陽」は復溜の別名でもあるが(「内筋」は交信の別名)、復溜も陰蹻脈に係わるという事か?
編:はりきゅう治療院 伍行庵
埼玉県さいたま市中央区上落合2-5-35-1F
℡048-851-9675