BL43)膏肓(gao1huang1)(こうこう)・膏肓兪
【取穴】
上背部、第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方三寸。
※BL43)膏肓とBL14)厥陰兪は、第4胸椎棘突起下と同じ高さにある。
【名の由来】
「膏=心下に在り脾より生じるもの」「肓=膈上に在り腎より生じるもの」。 本穴が膏肓に位置し、此所に病が入ると深刻で不治である事から。
【作用】
〔補〕益気補虚
〔瀉〕通宣理肺
【弁証主治/癒やせぬ処なし】
◆足太陽経病
風邪・発熱による疼痛など
◆心包虚証/脈病/腎病
各種依存症・※緊急反応・循環器疾患・更年期障害・泌尿器、婦人科疾患・下痢・脈沈遅など
【主症主治】
喘息・五十肩・肩こり・肋間神経痛・肋膜炎・背筋痛
【弁証配穴】
『崔氏四花(六花)灸法:膏肓+膈兪+胆兪(+肺兪)』…肺腎虚証〔灸法〕
【主症配穴】
+魄戸…肺結核
+庫房…喘息発作〔瀉法〕
【症例/個人的見解】
・本穴の内方一寸五分には「厥陰兪」がある。膏は「心下の脂」という意味があり、また霊枢九針十二原では「膏の原は鳩尾より出づ」とある。
・心包は「喜楽出づ」とされる。喜楽=快楽と考えると、各種依存症やストレスから生じる緊急反応などに応用できるのではと考える。
・個人的には、心包≒胸腺、三焦≒副腎(特に皮質)ではないかと考えている。 副腎髄質は実質、交感神経節後線維であり、※副腎皮質ホルモンの亢進は、胸腺を萎縮させ、免疫を抑制する。この三者の働きは、当院が考える「ホメオスタシスの五角形」の要になるのではと考える。
・基本、灸穴。古典には「禁鍼多灸、21壮」とある。気胸の恐れがあるので、やはり灸が望ましい。
・和漢三才図会には「尋常必要の要穴にして、理気の良灸・諸虚の妙灸」とある。養生穴としてはとても良い。
※副腎髄質…副腎髄質はそもそも交感神経節後線維の一種。血中にカテコールアミン(交感神経節後線維の伝達物質はみなカテコールアミン)を放出し、全身的な緊急反応をつくる。(つまり各臓器は、つながる交感神経支配と血中から二重に亢進をうける)
・アドレナリン…闘争と逃走(fight-or-flight)のホルモン。運動器への血流量増加(心臓機能上昇。消化機能低下)・呼吸機能増加・感覚器の感度上昇と痛覚の鈍化。
・ノルアドレナリン…アドレナリンと同様の働きに加え、脳に作用し注意(集中)と衝動性(決断)を高める。また長期記憶にも関わる。
・ドーパミン…副腎髄質からはごくわずか。循環血中のドーパミンの作用はまだよくわかっていないが、脳内においては意欲、動機、学習などに深く関与するといわれる。陽性(亢進)状態では幻覚・妄想など、陰性(抑制)状態では抑うつなど。
編:はりきゅう治療院 伍行庵
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